羽田空港で日本航空機と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、管制官が日航機の次に着陸予定だった航空機の指示中に、海保機の滑走路への進入を見過ごしたとみられることが6日、関係者への取材で分かった。管制官は後続機に最低速度まで減速するよう2回指示しており、運輸安全委員会は当時の状況を調べるため、管制官の聞き取りを開始した。
国土交通省が公表した交信記録では、衝突事故を起こした両機との交信は2日午後5時45分が最後だった。管制官はその後、日航機の次に着陸予定だった日航166便に「2番目、出発機あり。減速してください」と指示。同47分にも「最低進入速度に減速してください」と繰り返したが、166便からの応答はなく、無言の状態が3秒間続いた。
海保関係者によると、海保機は固定翼機で、ジェットエンジンを積んだ民間旅客機に比べると離着陸時の動きが遅い。このため、管制官は後続機に進入を遅らせる必要があると判断し、166便には減速指示を繰り返したとみられる。
海保機はこの間に滑走路へ進入し約40秒間停止。日航機に追突される形で大破、炎上した。
当時、管制塔に設置された「誤進入監視システム」も正常に作動。管制官は後続機への指示に気を取られ、画面に表示された注意喚起情報を見落とした疑いもある。
産経新聞 2024/1/6 17:00
https://www.sankei.com/article/20240106-7ZTLHA6Q2FNORIRTV2VRUTIUNA/
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■滑走路進入の海保機 管制官のモニターに赤く表示 羽田空港の航空機衝突事故
羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突し5人が死亡した事故で、管制官のモニターに滑走路に進入した海保の機体が赤く表示されていたことが分かりました。
事故当時、日本航空機と海保機の双方と交信していた管制官のモニターに、海保機が滑走路に進入したことが赤く表示されていたことが国土交通省への取材で分かりました。
このシステムは着陸機が接近中に滑走路に入った航空機を赤く表示して管制官に注意を喚起するものです。当時、システムは正常で管制官が気づかなかった可能性があります。
国交省は緊急対策として6日から羽田空港で新たにこのモニターを常に監視する管制官を1人置くということです。