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【朝鮮日報・寄稿】残念ながら、2023年は日本の大衆文化が米国を征服した年として記録されるだろう
残念ながら、2023年を振り返って、いささかとんでもないことを言わねばならない。実は2023年は、日本の大衆文化が米国を征服した年として記録されるだろう。2023年12月の米国ボックスオフィス(映画の興行収入)は日本が征服した。東宝の製作した『ゴジラ-1.0』が、12月初めに米国ボックスオフィスで2位になった。米国が東宝から版権を買って製作したハリウッド版の「GODZILLA」映画ではない。日本の観客のために製作された「ゴジラ」映画だ。一瞬のヒットで終わりそうでもない。これまでの収益だけでも3500万ドル(現在のレートで約49億8000万円。以下同じ)、韓国ウォンにして約455億ウォンに上る。スティーブン・スピルバーグ監督が「映画作りの王道」と称賛するくらい、反応もいい。韓国でも公開された宮崎駿のアニメ作品『君たちはどう生きるか』も、12月第2週に米国ボックスオフィスで首位に立った。これまでの収益は2300万ドル(約32億7000万円)、韓国ウォンで約298億ウォンを超える。
多数の韓国映画が北米市場を狙ったが、明確に成功を収めた作品は1本だけ。それはオスカー受賞作の『パラサイト 半地下の家族』で、総収益は5300万ドル(約75億4000万円)、韓国ウォンで約685億ウォンだった。『ゴジラ-1.0』と『君たちはどう生きるか』はすぐにこの数字を上回るだろう。しかも、この2作品の成功は、日本大衆文化の独創的ジャンルである怪獣物とアニメーションの産物、元は日本の内需市場向けというところに興味深い部分がある。『ゴジラ-1.0』は、敗戦後の苦痛の中にあった日本人が怪獣の侵攻に打ち勝つという、実に日本的なストーリーの作品だ。『君たちはどう生きるか』もまた、第2次大戦中の日本を舞台として、宮崎監督の極めて個人的な叙事をつづっている。つまり、米国に売り込もうとして作ったものではない、ということだ。
2作品の成功をもたらしたのは、ひとえに文化の力だ。1954年作の『ゴジラ』から出発した怪獣映画ジャンルは、日本では一般的な大衆文化だったが、海外ではサブカルチャー(小集団が楽しむ下位文化)中のサブカルチャーだった。サブカルというのはそういうものだ。少数のマニアの怪しげな趣味としてスタートするが、マニア層が世代を重ねて続いていくと、ある瞬間、メインストリームになる。子どものころ「ゴジラ」シリーズを苦労して探して見ていた西欧のマニアたちは、成長してハリウッドを引っ張る人間になった。スピルバーグが、まさにそんな人物だ。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)の後半には、「なんでゴジラがアメリカにいるんだ。これが嫌で逃げてきたのに!」と叫ぶ日本人が登場する。既にこの時期、米国市場においてゴジラという存在はサブカルを超えていたことを意味する。今の『ゴジラ-1.0』の米国におけるヒットは、日本が長年倉庫に積み上げてきた文化商品の、最初の本格的な米国侵攻と称しても良いだろう。
朝鮮日報
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