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【韓国】 キム・ジョンウンより一歳若いイ・ジュンソク国民の力代表~世代交代で保守も平壌も変われるか
この発言は平壌(ピョンヤン)共同宣言後にキム・ジョンウンのソウル答礼訪問論議がふくらんだ時に出た。「6・25戦争(朝鮮戦争)の戦犯ではないので答礼訪問できる」という趣旨の発言は保守陣営の反発を呼んだが、特に問題にはならなかった。少数野党である正しい未来党最高委員として発言の重みがなかったのかもしれない。
そうした彼がもはや保守の中心に立ってニュースメーカーになった。36才のイ・ジュンソクはキム・ジョンウンより一歳若い。二人は「MZ世代」(1980年代初め~2000年代初め出生)と共通点もある。10年前、キム・ジョンウンがキム・ジョンイル死亡で、イ・ジュンソクがパク・クネの抜てきで中央政治舞台に出てきた時点も似ている。
もはや6・25戦争が止まって30年すぎて生まれた彼らが北朝鮮労働党と韓国第一野党の指導者になった。南北関係でも世代交代が本格化するようだ。自分より若い南側保守政党代表はキム・ジョンウンにとって見慣れない。キム・ジョンイル死後10年間、ハンナラ党からセヌリ党、自由韓国党、未来統合党、国民の力と表札が変わり、イ・ジュンソクの前まで20人の党代表(非常対策委員長含む)を経た。ほとんどキム・ジョンウンの父や祖父ほどだった。キム・ジョンウンとしても自分の同じ年頃の保守党代表が気になるかもしれない。
イ・ジュンソクは党代表になった後、まだ直接的な対北発言をしていない。「イ・ジュンソク症候群」という言葉ができるほど関心は大きくなっているが、彼の対北認識の評価は制限的にならざるをえない。過去、放送パネルに出た時や今の党代表の立場で違いが生じるかもしれない。
彼が2019年に出した「公正な競争」で明らかにした対北の立場はこうだ。「統一方法として体制優位による吸収統一の他にどんな方法があるのか」「北朝鮮政権が韓国から米が来たと明らかにして配分するなら支援する用意があるが、明らかにしないなら支援できない」等だ。
このような発言が出るとすぐに彼を強硬な対北朝鮮観を持った若い保守と見るようだ。しかし、イ・ジュンソクはより柔軟だ。ムン・ジェイン大統領がキム・ジョンウンに会ったことについて「(信用不良状態の)北朝鮮がその状態を抜け出すためには誰かが保証人になるべきで、その役割を大統領が自任したのだ。当然しなければならないこと」と対話に肯定的だった。昨年のラジオ放送では開城(ケソン)工業団地を越えて坡州(パジュ)地域に先端産業団地を築いて、北朝鮮労働者が休戦ラインを越えて来て仕事が出来るようにしよう、と提案したこともある。
イ・ジュンソクと同年代のMZ世代は進歩と保守という理念に埋没するよりはその時その時、実利により判断して行動する特性を見せる。対話を通じて平和を構築しようという進歩や軍事力増強を通じて圧迫して牽制しようという保守の定形化された対北朝鮮政策に縛られることもない。
普段、能力主義と成果を強調してきたイ・ジュンソクが進歩よりさらに進歩的な経済協力案を表わしたのもこのような背景であろう。若い指導者が南北関係の進展に寄与すれば良いが、楽観するのは難しい。スイス留学派であるキム・ジョンウンに対し、もう少し新しい変化を試みるだろうと期待されたが、これまで北朝鮮は特に変わらなかった。
イ・ジュンソクもまた、個人の立場でない党代表として保守党の対北政策にどれほど変化をもたらすことが出来るか見守らなければならない。
東亜日報(韓国語)
https://www.donga.com/news/Opinion/article/all/20210625/107630382/1