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【特集】 笑い飯哲夫「金持ちしか賢くならへんやん」、10年続く「格安塾経営」を公言の訳 子どもたち全体を底上げするために投資が必要
子どもたち全体を底上げするために投資が必要
『M-1グランプリ』の王者として知られる人気芸人の笑い飯・哲夫さん。NHK大河ドラマ『どうする家康』では、並外れた知力を持つ儒学者・林羅山を演じるなど活躍の幅を広げている。
そんな哲夫さんは小・中学生向けの教育にも力を注ぎ、2014年からは大阪市淀川区で補習塾「寺子屋こやや」を運営してきた。しかし、それを公の場で語り出したのはつい最近のことだ。
なぜ今、明らかにしようと考えたのか。そこには、子どもたちや社会に対する強い思いがあった。
2024/01/05
東洋経済education × ICT編集部
子どもたち全体を底上げするために投資が必要
哲夫さんが小・中学生向け補習塾「寺子屋こやや」を開いたのは、所属する吉本興業の社員から「塾の費用が月6万~7万円かかる」と聞いたのがきっかけだった。
「高すぎると思いました。金持ちしか賢くならへんやんけと。一部の人間だけが賢くなる『置いてきぼり教育』は嫌やなと思ったんです」
「月6万~7万円」は高額な部類だが、塾にかかる費用は決して安くない。文部科学省の調査※1によれば、2021年度の1年間で公立小学校に通う小学生の「補助学習費」(自宅学習や学習塾・家庭教師などの経費)の平均額は12.0万円、
公立中学校に通う中学生は30.3万円。1カ月あたりではそれぞれ1万円、2万5250円だ。塾に通いたくても、経済的な事情で通えない子どもがいるのは事実だろう。
※1 文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」(2022年12月21日公表)
笑い飯 哲夫(わらいめし・てつお)
1974年奈良県生まれ。関西学院大学文学部哲学科卒業。2000年に西田幸治とお笑いコンビ「笑い飯」を結成。2010年『M-1グランプリ』優勝。
相愛大学人文学部客員教授。2014年より低料金の小・中学生向け補習塾「寺子屋こやや」を運営。2023年12月に最新著『がんばらない教育』(扶桑社)を上梓
家計の負担をなるべく抑えたい、と哲夫さんが設定した金額は、週3回で1万5000円程度。大阪市の塾代助成※2を利用すれば、月5000円になる計算だ。
※2 「大阪市習い事・塾代助成事業」のこと。大阪市では、学校外教育にかかる費用を月額1万円まで助成。大阪市内に住む小学5年生から中学3年生を養育する人が対象で、一定の所得制限が設けられている。
哲夫さんがそうまでして子どもたちに賢くなってほしい理由は、「これからの地球を任せるから」だ。
「夏がくそ暑いのが嫌で。子どもたちもクーラーがないと勉強できないとか、体育や部活動で倒れるとか、かわいそうじゃないですか……。
元の地球に戻してくれよ、と思ってるんです。そのためには、とんでもない科学者や技術者に出てきてもらわないと。
子どもたち全体を底上げして誰もが天才になれる雰囲気を作れば、その中からとんでもない奴がボンと出てくるかもしれない。僕らはそんな社会に投資せなあかんと思うんです」
「人生半分くらい来てるから」、補習塾経営を打ち明けた
https://toyokeizai.net/articles/-/723683