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インカレ決勝の観客は5000人に届かず…「マスコミの注目度も低い」大学サッカー界が改革に着手
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“大学日本一”の座に上り詰めたのは、常勝の誉れ高き明治大だった。
12月24日、第72回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の決勝が行なわれ、大会初制覇を目ざす京都産業大を2-0で破り、3大会ぶり4回目の優勝を成し遂げた。
怒涛のハイプレスとショートカウンターを武器に、惜しみないハードワークが身上の明治大、そしてテンポ良くボールを動かす技巧派集団の京産大。それぞれの個性がぶつかり合い、一瞬たりとも目の離せない好ゲームだった。
しかしながら、雌雄を決する大一番の会場となった茨城県立カシマサッカースタジアムのスタンドは空席が目立った。ライブ配信での視聴が可能だったとはいえ、詰めかけた観客は公式記録によると4509人。この数字に顔を曇らせていたのが流通経済大の監督であり、全日本大学サッカー連盟と関東大学サッカー連盟の理事長を兼務する中野雄二だ。
「前回大会の決勝は2023年の元日に国立競技場で行ない、1万人以上を集めましたから、正直、もっと多くの人たちに足を運んでもらいたかったです。高校選手権の決勝ともなれば、5万人くらいの集客力がある。でも、これが大学サッカーの現状なのでしょう。
ポテンシャルが高く、有望な選手がたくさんいながら、高校サッカーとJリーグの狭間にいる大学サッカーに対するマスコミの注目度も低い。こうした現実を何とかしたいよね、という話をずっとしてきました。これまで何もやってこなかったわけではありませんが、さらにいろいろなことにトライしていかなければいけないと感じています」
取り巻く環境の整備や集客力アップのために具体な施策を打ち出し、大学サッカー界は今、大きく変わろうとしている。
「たくさんの観客の中で試合ができれば、それだけで選手たちのモチベーションは自然に上がりますし、秘めている力もどんどん引き出されていくでしょう。周りからの関心が高まり、たとえば1万人の観客が大学サッカーのスタンダードになったら、選手たちにとって大きな刺激になるはずです。
そういう環境になるのは3年後かもしれないし、5年後かもしれないし、10年後かもしれない。何もしなければ、何も変わりませんから、とにかくチャレンジしよう、と。先を見据えながら、走り出そうとしているところです」(中野理事長)
大学サッカー界の改革案の要点は、2つ。まず、夏の全国大会に位置づけられている総理大臣杯の出場チーム数を24から32に増やす。地域によって出場枠は異なるものの、加盟チームならば、どの大学にも出場のチャンスを有するのが同大会。24年度から、その門戸を8枠、広げることになった。
そして、もう1つがインカレの大会形式の大幅な変更だ。各地域の代表23チームと、同年の総理大臣杯優勝チームの総勢24チームが集い、一発勝負のトーナメント方式だったが、24年度から20チームによる予選ラウンドを皮切りに、勝ち上がった10チームとシードの6チームによるグループリーグを経て、最終的に8チームによるトーナメント形式で“大学日本一”を競うことになった。
また、予選ラウンドで負けた10チームは新設される“強化ラウンド(リーグ戦)”に移り、そこで実戦経験を積む。切磋琢磨する機会を増やすことで、全国レベルの底上げにつなげていきたいという狙いだ。
「大学サッカーのメインとなる2つの全国大会のやり方を区別化して、それぞれの位置づけやクオリティをどう高めていくか、という観点で、検討した結果、このようにしました。
試合数が増え、各大学をはじめ、運営スタッフの負担も大きくなりますが、負担が増えるからやめようではなく、たとえ負担が増えてもチャレンジしていこう、と。実際に開催してみて、いろいろな問題点や課題が出てくるでしょうから、その時にまた話し合って改善していきたいと考えています」(中野理事長)
(略)
近年、三笘薫(筑波大)や伊東純也(神奈川大)、守田英正(流経大)、上田綺世(法政大)など、大学サッカーを経て、日本代表にまで上り詰めるケースは少なくない。「それだけのポテンシャルがある」と中野理事長が胸を張るとおり、日々、繰り広げられている試合のプレー強度や質は高く、日本サッカー界を支える重要な役割を担う。
かつて日本代表選手と言えば、大学サッカー出身者が大半を占めていた時代もある。普及や強化、競争力の向上はもとより、より多くの関心を集めるべく、大学サッカー界のチャレンジは続く。
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