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【日本ハム】初年度300万人超と絶好調のFビレッジ、「行楽地」から「職住近接の誇れる街」へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/db90bb3f8d8942db4ba031a30941dce0cc4f740b
北海道北広島市が誘致したプロ野球日本ハムファイターズのボールパーク(BP)「Fビレッジ」が開業1年目から300万人超と多くの集客数を記録した。今後、BPを核とした街づくりをどのように進めていくのか、市の川村裕樹・経済部長(前企画財政部長、BP推進室長)に聞いた。
――年間300万人の目標を突破した。
「シーズン中に目標を達成できたのは、良かった。市内の空き店舗にテナントが入るなど今までにはない動きが出てきており、人口が増える素地ができつつある。ただ街づくりに対して、BPがどういう貢献をしたか判断するには、もう少し長い時間軸が必要だ」
――公式戦がない日の来場者が多く、従来の野球場の課題を克服した。
「野球以外のコンテンツを用意し、来場していただいたのはねらい通り。北広島市は居住環境に自信こそあったが、『通りすがりの街』と言われてきた。『立ち寄ってくれる街』に変わったことは大きな成果」
「JRの新駅完成は先ですが、来場者がいるからこそ、どういう業態に人が流れるか、どう人を滞留させるか、次の議論ができる」
――昨年の取材でBPは人を呼び込むアイテムだと期待していた。
「いま、北海道を見渡しても、300万人を集客できる施設は多くありません。しかも、およそ3割が非試合日に来ていただいた。ふたを開けてみると、BPは想像を超える『ごっつい』コンテンツでした」
――BPは「行楽地化」の成功に一歩、踏み出したと言えるのでは。
「試合のない日に、老若男女が集まる『行楽地』から、Fビレッジ一帯を次の時代を見すえた『街』にしたいと考えています」
「野球という娯楽だけでなく、医療では、290戸のシニアレジデンス(高齢者向け住宅)にメディカルモールができます。教育では北海道医療大のキャンパス移転が発表されました。将来的にはオフィスもあれば面白い。住むところも遊ぶところも、手に届く場所にある『職住近接』のエリアというイメージです」
「ファイターズさんと打ち合わせをしていて、いま考えていることは『妄想』に近いのですが、それを『構想』に具現化することが大事。行楽地を街にするには長いスパンになるかもしれない。やがて、そこに住む人が誇らしいと感じられるエリアにできれば」
――街の姿を少しずつ描けていると。
「少しずつステップは上がっていると思います。でも行政が絶対に忘れてはいけないことは、BPだけで完結してはいけないということ。Fビレッジの価値を街の他の分野に循環させ、持続可能なものにすることが、われわれ行政に課された役目だと思います」(聞き手・能田英二)