うち約270社が売り上げを除外するなどして、計約27億円の仮装・隠蔽(いんぺい)を伴う所得隠しと認定された。
巨額の復興マネーが被災地に注がれるなか、税逃れを図る企業の実態が浮き彫りになった。
(牛島康太)
熊本地震に関する集中的な税務調査は初めて。
熊本地震では、熊本県益城町で9割の家屋が損壊するなど住宅や道路、鉄道などに甚大な被害が出た。国や県などが発注する復旧・復興工事が急増し、建設業界を中心に特需となった。
関係者によると、一斉調査は21年6月までの2年間、熊本国税局管内の熊本、大分、鹿児島、宮崎各県に所在する企業に対して行われた。対象は被災した建物の解体や修理・建設のほか、道路などのインフラ整備や墓石の修繕を行う企業で、工事関係者が宿泊していた旅館や、飲食店を経営する法人も含まれている。
申告漏れを指摘された企業の多くは熊本県内の建設関連の企業。売上金を帳簿に記録しなかったり、社長ら個人名義の口座に振り込ませたりしていた。取引先に虚偽の請求書を作成させ、架空の外注費を水増しして計上したケースも確認されたという。
「復興関連で急激に売り上げが伸び、納税額が高額になる可能性があるので不正を行った」「特需がいつまで続くかわからず、とりあえずプールしていた」。
約600社の担当者らは調査に対し、このように説明。単発の補修工事で現金決済の取引が多く、「個人的なことに使ってしまった」と話す関係者もいたという。