しかしこの時、拝殿前には細い大行列ができていて、長時間待ちくたびれた、あるいは横から参拝する人を見かけてズルいと思った、なんて経験ありませんか?
新年を前に、初詣の「行列」について、視聴者からBSS山陰放送に1通のメールが届きました。
▽視聴者からのメール内容
「最近神社に参拝すると賽銭箱の前で行列をしています。賽銭を入れて鈴を鳴らして横に避けて拝むのが常識かと思うのですが…。鈴がなければ賽銭を横から入れても何も問題がないのに、一組ずつ参拝しています。
他の人が参拝していても後ろに並ぶ必要はなく、待たずに参拝するのが当たり前だと思いますし、並ぶ行為は一見礼儀正しそうに見えて、実は人の参拝を焦らせているのではと思います」
神社で賽銭を入れ、鈴を鳴らし、1組ずつ順番にお参りする。
参拝時によく見かける光景ですが、その結果、細い行列ができてしまうことは少なくありません。
そう言えば初詣の時にできる行列は、以前に比べると、細く長くなっているような気もします。神社によっては1列だけが長々と続き、神社の外にまで列ができているシーンも見かけます。
賽銭箱前のスペースにもよりますが、例えば横に6人ほど並ぶことができる場合でも、鈴がある正面・中央のみに列ができ、1組ずつが順番に参拝し、その両側には誰も並んでいない空白のスペースが存在するケースもあります。
しかし、その端のスペースにササっと入って参拝すると「横入りされた」「こっちは長時間は並んでいるのにズルい」などと、ギスギスしたりトラブルが発生したりすることも考えられます。
参拝時の行列について、ルールはあるのでしょうか。
鳥取県米子市にある賀茂神社天満宮に話を聞きました。
▽賀茂神社天満宮 担当者
「参拝時の並び方に関して、明確なルールはございません。神社によって実情が異なるため、一概には言えませんが、賽銭箱や鈴が1つしかない場合、やはりみなさん1~2列で並ばれる印象です」
ルールは特になく、祈願する上では、真ん中であろうと端であろうとご利益は関係ないとした上で、むしろ、神様の通り道とされる真ん中を避けて、端で参拝する方が神様に失礼がないという考え方もあるということです。
そして、なぜ細長い行列ができてしまうのかについては…
▽賀茂神社天満宮 担当者
「礼儀正しい日本人の性格といいますか、『ほかの人が参拝されている途中に自分も参拝すると失礼かな?』と感じる人も少なくないようで、結果的に行列ができてしまうと考えられます」
一方、同じ米子市にある勝田神社では、混雑防止のための対策を始めています。
▽勝田神社 担当者
「参拝者の方は自然と2列に並ばれますので、お正月には『2列ではなく5~6列で、横に広がってお並びください』と呼びかけたり、注意書きを貼ったりしています。特に混雑する3が日は、拝殿の扉を開けて、横に広がって参拝していただけるようにしています」
しかし、並んでいる参拝者に呼びかけをしていても、結局、拝殿では1組ずつ参拝する人が多いといいます。
▽勝田神社 担当者
「やはり皆さん『ほかの参拝者の邪魔をしてはいけない』と遠慮してしまい、1組ずつの参拝となっていると思います。
しかし、行列が道路まで続くことによって危険も生じますし、参拝者の皆さん自身も長時間待つのは大変ではないでしょうか」
一度に多くの人が訪れる初詣の場合、群衆事故が発生する場合も考えられるため、列を作ってゆっくりと順番を待つこと自体がダメということでは決してありません。
1年の始めを気持ちよく迎えたいのは皆同じ。
神様は一度に大勢の人に対応できるはずですので、混雑緩和のためにも、今年の初詣は「左右に大きく広がって並ぶ」ということを意識してみると良いかもしれません。