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私立中入試に「英語枠」続々…英語力備えた国内インター校生獲得狙い 識者「実質的な青田買い」
大学受験を見据え
「Your pronunciation is beautiful.(発音がきれいですね)」
11月上旬、和洋九段女子中(東京)で開かれた、首都圏模試センター主催の新入試体験会。同中の外国人教員が、新設される「英語インタビュー入試」を試した小学生に語りかけた。
体験会に登場した8校のうち、英語入試を紹介したのは3校。日本語と英語の面接で選抜する「英語資格型入試2」などを新設する城西大学付属城西中(東京)の担当者は「英語力を備えた生徒の獲得は、難関大学の合格実績に直結する。他の生徒にも良い刺激になる」と話す。
進学塾「栄光ゼミナール」によると、首都圏の私立中学約300校のうち25校が来春、英語での選抜枠を新設する。
その背景には、2020年度から小学校で英語が教科化し、入試で課すハードルが下がったことや、グローバル教育に力を入れる学校が人気を集めていることがある。もう一つの要因は、24年度入試から、都内の私立中が実施する帰国生入試のルール厳守が求められたことだ。
「青田買い、不公平」
入試ルールを申し合わせている「東京私立中学高等学校協会」によると、帰国生入試の対象者は「海外在住経験が1年以上あり、帰国後3年以内」が条件。だが、都内のある私立中の校長は、「高い英語力が見込める国内のインター校生には、海外在住経験などの条件を満たさなくても帰国生入試の受験を認めていた」と打ち明ける。
昨年までは帰国生入試の実施時期のルールもなかった。近年は、インター校生らを早期に囲い込むために、早い学校では入学前年の10月中旬から帰国生入試を行っていた。同協会では、今年から帰国生入試は11月以降の実施で申し合わせた。
同協会の近藤彰郎会長は「実質的な青田買い。(東京都では)2月1日の一般入試解禁を守る受験生にも不公平だ」と話す。
栄光ゼミナール入試情報センター責任者の藤田利通さんは、中学受験の主流は国語や算数、理科、社会の4教科で、英語での選抜枠の募集人数も限られるとし、「英語が好きで得意な子ならともかく、従来の4教科の勉強に英語を追加し、子供に過度な負担にならないように保護者は注意してほしい」と話していた。
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20231226-OYT1T50182/