佐久市で経済活性化を目的とした市民向け電子クーポンサービス「39QR(サンキューキューアール)」が始まった。市民1人につき最大1万円の割引が参加店で受けられる。ただ、使用はアプリのダウンロードが必要。スマートフォンを持たない高齢者を中心に、紙の商品券方式での実施を求める声もある。
市は説明会を12回開いたが…
「ガラケー(従来型携帯電話)しか持っていないが、だめなのか」。8日、市内で開いた39QRの説明会。市の担当者が概要の説明を始めて数分で、男性(75)が立ち上がって会場を後にした。「自分には関係がないということ。商品券を配布した方がいいと思う」と残念がった。
市はスマホが苦手な高齢者の使用を想定し、11月21日から12月10日まで12回、説明会を開催。延べ千人が参加した。8日、参加したお年寄りたちは職員の手助けを受けながらアプリをダウンロード。女性(74)はこれまでスマホは通話でしか使わなかったといい「自分一人ではできなかった。本当は現金を配布した方がうれしいのに」。
商品券は印刷経費が生じ、換金手続きに手間
39QRは市と市内経済団体でつくる協議会が主体で来年1月末まで実施。市内約700店で使え、1万円以上の購入は2千円など5段階の購入金額に応じて1回に使える上限がある。期間内でも利用総額が3億円に達すると終了し、残額は現時点で約6割。
市と協議会は2020年度以降、商品券方式の経済活性化策を続けてきた。6日の市議会一般質問で39QR開始の経緯を問われた中沢幸二経済部長は、商品券は印刷経費が生じ、換金手続きが面倒として協議会から電子化を求められたと説明。スマホを持たない人の対応として、短期的に貸すことも想定し、通信事業者に相談したが、契約上の課題があり断念したという。
市側、来年度は「全て白紙」
市内のあるガソリンスタンドでは1日15人ほどが39QRを使う。担当者は「半分ほどが新規客で効果はある。換金手続きも楽だ」と話す。ただ「現金のように使える商品券の方が良かったと話す客は多い」と打ち明ける。
市商工振興課はスマホを持たない人は、家族など信頼できる人に頼んで使うように求める。担当者は来年度について「(実施有無や方法は)全て白紙。国の補助や社会情勢をみて判断したい」とした。