この女性によると、自宅にケーキが届いたのは23日。解凍して24日昼に箱を開けたら、崩れていた。「一瞬、どうしようかと思った」
ここまで形が崩れているのなら、と考えているうちにふと思いついた。「もう子どもがぐちゃぐちゃにしても気にならない。好きに飾り付けしてもらおう」
もともとケーキの飾り付け用にと、銀色のビーズのような菓子(アラザン)、雪だるまやサンタクロースの紙ピック、ドライフルーツなどを用意していた。「好きに飾っていいよ」と言うと、息子は「いいの?」といいながら、アラザンの入った袋を開けて、ケーキのてっぺんから中身全部をざーっとかけた。
続いてドライフルーツやカラフルチョコも飾り、紙ピックも隙間(すきま)がないほどケーキの上に並べた。
女性は「自分も子どもの頃、たくさん飾り付けしたかったよな」と思いつつ「私も楽しくなってきた」と振り返る。こうして「全部乗せ」ケーキが完成した。
女性はこの写真を友人で会社経営者の馬場ふゆかさんに送った。馬場さんは、写真を見て「その場で爆笑した」といい、女性の許可を取って24日夜にXに投稿。26日時点で13万の「いいね」がついた。馬場さんは取材に「友人たちと楽しく話したいぐらいの感覚だった。こんなに広がるとは思いませんでした」と驚いた様子だった。
さて、ケーキのお味は? 紙ピックだらけで真っすぐ切ることはできず、「ピックの間を縫うようにカットした」という。イチゴはアラザンまみれで、子どもは「キラキラのイチゴだ!」と喜んだ。食べると「ガリガリ。ポキ」という食感。女性は「おいしかったが、味はアラザンやドライフルーツでよく分からなかった部分もあって、パティシエの方に申し訳ないと思った」と苦笑した。
子どもが飾り付ける前に、女性は高島屋に電話で問い合わせ、食べていいか確認した上で家族3人で食べきった。「返金もすると言われ、丁寧に対応してもらった」と思っている。
「こんなことがなければ、ポリポリ食感のケーキは食べられなかった」とあくまで前向きだ。今回の騒動について、女性は「ケーキを配送するのも大変でやっぱり難しいのだろうと思いました」と、関係者をむしろ気遣っていた。【平塚雄太】