「サムスン電子は横浜市みなとみらい地区に『アドバンスド・パッケージ・ラボ』という開発拠点を設立予定です。半導体の製造過程の中でも、回路部分がすで作成された“ウエハー”という部品を切り分けて、実際の製品へと仕上げる“後工程”について研究する予定です」(経済部記者)
当然、補助を受けるサムスン電子側も投資をおこない、日本メーカーと共同で研究開発する予定だという。この報道に対し、ネット上では多くの批判が寄せられた。
《日本の産業育成に出した方が良いのでは》
《韓国から裏金流れてるんですか?》
《支援するのは国内が先ではないのか》
《やっぱり岸田さんは自国より他国を支援》
サムスン電子は2027年度までに、同研究所で100人以上を雇用する方針だ。台湾のTSMCが熊本工場を建設する際の補助金は最大4760億円。わずか200億円の支援は少ないようにも思えるが……。
「そもそも日本政府は、世界的な半導体不足や、米中対立の激化をふまえ、安定したサプライチェーンを強化するために、半導体の生産拠点や研究施設を国内に誘致しようと必死になっています。TSMCの工場もそうですし、今回のサムスン電子も同じでしょう。国産メーカーで言えば、ラピダスには最大で1兆円。キオクシアにも929億円。さらに米国メーカーのマイクロンには2135億円など、巨額の支出を続けています」(同前)
そんな中でこれほど“サムスンへの200億円”に批判の声が集まるのはなぜなのか。
「アレルギーかもしれません。サムスン電子は、1997年のアジア通貨危機の際には、まさに倒産寸前の状態になりました。しかし、日本メーカーが足踏みしている間に一気に業績を伸ばし、今や半導体やスマートフォンなど、あらゆるジャンルでトップクラスの世界的な電子製品メーカーとなりました。
サムスンは、日本が“半導体戦争”で負け続けてきたことを象徴する存在なんです。今でも、この屈辱的な状況を受けいれられないという、アレルギーがあるのでしょう。
とはいえ、ラピダスへの1兆円補助のように、政府がただ闇雲にお金をばらまいたところで、日本の半導体メーカーが復権するとも思えませんが……」(同前)
サムスン電子に来てもらえるだけでもありがたいのか。ずいぶん寂しい時代にーー。