産経新聞
テレビ番組の制作会社が倒産するケースが増えている。東京商工リサーチによると、今年1~9月で14社が倒産しており、これは前年同期(6件)の2・3倍のペースで、過去10年間で最悪の事態に陥っているという。いったい現場では何が起きているのか。
過去10年間で倒産が最も多かったのは、2018年の13件だったが、今年は9月の段階ですでに上回っているかたちだ。資本金別でみると、1000万円未満の会社が11件で全体の8割近くを占めた。小規模業者が次々と倒れている状況だ。
東商リサーチによると、20年のコロナ禍の当初は、緊急事態宣言の発令による外出自粛などで番組制作自体が中止されたり、延期を余儀なくされたりしたことで業績に大きく影響。こうした受注減が長引いていることに加え、折からの物価高で制作コストや人件費も上昇するという悪循環が直撃しているというのだ。
「まず、地上波のテレビ各局ですが、NetflixやAmazonプライム、ディズニープラスなど配信チャンネルが増えて多チャンネル時代になったため、広告費が分散しています。このため、これまでも制作費はじわじわと削られていましたが、ここに来て激減していますね」と話すのは中堅制作会社の関係者だ。こう続ける。