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【鈴置高史氏 半島を読む】 菅首相に粘着する文在寅 ”蚊帳の中”にもぐりこみたい韓国、「左派政権駆除」に動く日米
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G7が不発なら東京五輪で
――韓国の大統領の行動が異様です。
鈴置:菅義偉首相へのストーカーですね。6月11日から13日まで英国で開かれたG7サミット(主要7カ国首脳会議)。韓国政府はこの場を利用して日韓首脳会談を開こうと画策。それを日本に断られたら「略式会談でいいから」と粘った。
文在寅大統領は会議場と夕食会のパーティで2度にわたって菅義偉首相に話しかけた。しかし、菅義偉首相は挨拶しただけで深入りせず、文在寅大統領から離れた。大統領は「立ち話」を手がかりに「会談」に持ち込むつもりだったのかもしれませんが、スルリと逃げられてしまったのです。
韓国政府は東京五輪に合わせた大統領の訪日も目論んでいます。読売新聞が6月15日、「文在寅氏の五輪中来日で調整…韓国側は首脳会談を希望、日本側は慎重姿勢」で報じました。
同日、読売報道に関し聞かれた韓国外交部の報道官は「現在、言及する事項はない」と答えています。聯合ニュースの「文大統領が五輪に合わせ訪日か 『言及する事項ない』=韓国政府」(6月15日、日本語版)などが伝えました。
もし、韓国政府が大統領訪日をまったく計画していないのなら、頭から否定するはずです。日本が首脳会談に応じれば、五輪に合わせ訪日するつもりと思われます。
6月17日にも、匿名の青瓦台(大統領府)高官が韓国記者団に対し、G7サミットで日韓首脳会談が実現しなかったことについて「残念だ。今後も韓日関係改善と未来志向の発展のために開かれた姿勢で日本側と対話・協議を続けていく」と述べました。
韓国メディアが一斉に報じました。韓国人から「日本ごときに未練がましい」と反発が出ないか、こちらの方が心配になります。
監獄逃れにはノーベル賞
――なぜ、それほどに日韓首脳会談をしたがるのでしょうか。
鈴置:身の安泰が目的です。文在寅氏は何か大きな実績を残さないと、2022年5月に大統領を退いた後、刑務所行きとなる可能性が高い。
李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)という保守の元・前職の大統領を文在寅政権は起訴しました。2人は今も収監中です。保守政権当時の最高裁長官や官僚らも多くが牢屋に入っています。
来年3月の選挙で保守が政権を取り返せば、あるいは左派でも文在寅氏と関係の悪い李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が大統領になれば、文在寅氏とその取り巻きへの報復が始まると韓国では見られています。
韓国の多くの大統領が退任後に収監されています。なお、子息は刑務所に送られたものの、本人は免れた大統領が2人います。金泳三(キム・ヨンサム)氏と金大中(キム・デジュン)氏です。
金泳三氏が起訴・収監を免れたのは後任の金大中氏の弱みを握っていたからとされます。金大中氏はノーベル平和賞を受賞したからと見られています。韓国政治は報復の繰り返し。それでも、韓国初のノーベル賞受賞者は監獄に送れなかったのです。
――日本の首相と会えば「ノーベル賞級の実績」になるのでしょうか。
鈴置:もちろん、それだけではなりません。狙いは金正恩(キム・ジョンウン)総書記です。東京五輪を理由に金正恩総書記が訪日し、日米と和解劇を繰り広げる可能性がある、と韓国政府は見ている。
文在寅政権としては何とかしてその場に参加し、自分が仕切ったかのように見せて「ノーベル賞級の実績」としたい。そのためにまず、菅義偉首相との関係を改善せねばならないのです。退任後がかかっているだけに、藁をもつかむ思いでしょう。
(略)
デイリー新潮 2021年6月21日掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/06211701/?all=1