事件から3週間後に死体損壊容疑で逮捕(のちに殺人容疑で再逮捕)されたのは、札幌市厚別区に住む無職の田村瑠奈容疑者(29)、彼女の両親である精神科医の修容疑者(59)とパート従業員の浩子容疑者(60)の3人だった。地元紙記者が語る。
「事件当日の夜、被害者はディスコイベントに参加したあとに瑠奈容疑者と合流して、2人でラブホテルに入室しました。数時間後に瑠奈容疑者は『先にでます』とフロントに電話を入れ、翌日午前2時頃に1人で部屋を出る姿がホテルの防犯カメラに映っていました。
その後の捜査で、被害者はアイマスクのようなもので目隠しされ、後ろ手でレプリカの手錠をかけられていたことがわかりました。自由を奪われた状態の被害者が瑠奈容疑者に襲撃される動画が彼女のスマホに残っていたのです。瑠奈容疑者のほうからSMプレイを持ちかけたと見られています」
逮捕された瑠奈容疑者と彼女の両親は現在、刑事責任能力を判断するために来年2月末まで鑑定留置が実施されている。そんな中、捜査関係者への取材でわかったのは、鑑定留置前に語っていた父親の証言と、被害者のスマホに残されていた瑠奈容疑者の凌辱画像の存在だった。
「瑠奈容疑者の自宅2階の浴室からは、切断された被害者の頭部が空の浴槽から見つかりました。その様子がハンディカメラで撮影されていて、瑠奈容疑者と思われる手袋をした両手が映り込み、撮影者は父親と見られています」(捜査関係者)
父親は鑑定留置前、被害者の首を切断した理由について、取り調べでこう供述していたという。
「父親は『身元の特定を遅らせるために先行して首を切断した』と語っていました。父娘は被害者を殺害した直後、自宅に戻って再びススキノのクラブに繰り出していたこともわかっています。父親は事件直後に大量の氷も購入しており、当初は『複数回ホテルに出入りして、遺体をバラバラに切断して皮膚と骨に分け、山中に分散させてキツネやクマに処分してもらおうと考えていた』と、語っていたそうです」(同前)
■被害者のスマホの画像に捜査員も驚愕
また事件当日、父娘は被害者に会う数時間前、自宅近くの量販店でナイフやノコギリ、スーツケースを購入するなど、入念に準備を重ねている。捜査関係者は父娘の猟奇的な行動について次のように背景を語る。
「被害者の女装は若い女性を惹き付けるための仮装とみられています。捜査のなかで、被害者にホテルに連れ込まれるなどした女性は十数人いたそうです。被害者は日頃からスマホを2台所有していて、1台はメイン用で、もう1台は画像や動画データの保存用で複数の女性のデータが残っていました」
瑠奈容疑者は殺害直後に被害者のスマホを破壊し、父親の車の中からは被害者のSIMカードが見つかっている。警察によって復元されたスマホのデータには捜査員も驚愕する画像が残されていた。
「瑠奈容疑者は事件前に複数回、被害者と会っていたようです。彼女はホテルで被害者に襲われることもあった。被害者はいろいろな道具を使用して瑠奈容疑者を辱めて、その一連の行為がスマホのデータに残されていた。父親はホテルで娘が被害者に襲われたことを知り、なんらかのかたちで画像の存在も把握し、犯罪に至ったのではないか」(同前)
愛娘が受けた苦しみを知り、父親は医師としての良識を失い、被害者に強い憎しみを抱くようになったのだろうか。鑑定留置は残り2カ月で終わるが、責任能力について、前出の捜査関係者が打ち明ける。
「現状で、娘の責任能力を問うのは難しい状況と聞きます。ただ、父親は事前に凶器となるノコギリを準備したり、事件現場への送迎、返り血を防ぐポンチョを用意させるなど、事件に深く関与していた疑いが強い。また、母親も事件に関与していた可能性がある。しかし、加害者らが生前に被害者から受けた行為は酷く、裁判になったとしても何らかの情状が酌量される可能性はある」
まもなく深い雪に覆われる北海道の冬。親子3人はそれぞれの留置所で何を思うのか。