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「ゲームだけの人間にはなってほしくない」プロゲーマー・高橋名人が子どもたちに伝えたいこと
Yahoo!ニュース オリジナル Voice
任天堂からファミリーコンピュータ(ファミコン)が発売されて、今年で40年を迎えた。ファミコンゲームの実演で一世を風靡した高橋名人は、ゲーム機やソフトが大きく進化し、
プロゲーマーやゲーム配信者などゲームを生業にする人も増えた現状について「この変化は当然の流れ」と話す。一方で、ゲーム配信を見る子どもたちも多いことから「プロゲーマーは子どもの見本であってほしい」と警鐘を鳴らす。
“名人”と呼ばれるようになった背景から、いまゲーム業界に関わる人たちに心がけてほしいこと、ゲームのプロとして高橋名人が考えるゲームの可能性について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
臨床心理士 森山沙耶氏が見る記事のポイント
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・小中学生の子がいる親御さんに参考になる
・ゲーム時間が延びる冬休み前に読んでほしい
・ゲームの向き合い方を親子で話すきっかけに
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プロゲーマーは“子どもの見本”であってほしい
――そもそも“高橋名人”と呼ばれるようになったのはいつごろですか?
高橋名人: 1985年ですね。ハドソンでファミコンのゲームの宣伝を担当していた頃です。あるとき全国規模でゲーム大会を開催することになって、
その大会でゲームの攻略について教える先生的なポジションが必要という話になり「高橋やれ」と声をかけられました。
その先生役の呼び名をみんなで考えていたところ「将棋や囲碁の世界でうまい人のことを名人と呼ぶから“高橋名人”でいいじゃないか」と名づけられました。
しかし、子どもたちは正直だから、僕がゲームで失敗したりすると「名人のくせに」と接してくる。これが結構大変で…。僕の知り合いはステージ上で3回ゲームに失敗して、子どもたちから「帰れコール」が出ていましたからね(笑)。
――近年はプロゲーマーとしてゲームを生業にする人たちも現れ、eスポーツやゲーム配信も盛り上がりを見せています。高橋名人はそういった状況をどう見ていますか。
高橋名人: 私が名人をしていた頃から「ゲームをするのが仕事なんていいな」と言われていて、ゲームを仕事にしたいと考える子どもたちは多くいました。
でも、裏では大変な努力があり、趣味でやるには大変な作業だったんです。だからこそ、プロのゲーマーを目指して生業にする人が出てきたのは、当たり前の流れだと感じますね。
ゲームをプレーする人だけでなく、配信ゲームの実況者もプロのゲームプレーヤーだと思いますし、ゲームの解説者もプロ。ゲームの面白さをいろいろな見方で示していて、どの仕事も否定する気は全くないですね。
――そういったゲーム配信者やプロゲーマーたちに対して、ゲームの世界でプロとして活躍してきたからこそ思うことはありますか。
高橋名人: やっぱり子どもたちの見本になってほしいです。配信者側は「視聴者は同世代のファン」と思っているかもしれませんが、スマホが普及した今、幼稚園児など小さな子どもたちが配信を見ている可能性もあるので、そこを意識してほしいですね。
ゲームで遊ぶときにどんな言葉を使うのかも重要だと思っています。例えばシューティングの対戦もので、ゲームに負けたときに足を引っ張った人のことを「戦犯」と呼ぶ文化がある。
そういう言葉遣いや人権感覚が子どもたちに悪影響を与える恐れがあります。特に子どもたちは悪い言葉を面白がって使いますので、配信ではできるだけ使わないように心がけていただきたいです。
とはいえ、これは現代の子どもたちが影響を受けやすいということではなく、子どもは目に入る対象が面白ければなんでもまねしてしまう。僕が子どものときだって、ザ・ドリフターズを見て同じような悪ふざけはしていましたからね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c3104e8f895c6c21fe678572e378085462c424d1