ダイハツによると、すでに発注している部品分は生産を続けるが、その後は順次、生産を停止する。京都府大山崎町と滋賀県竜王町、大分県中津市の3工場は25日に、大阪府池田市の本社工場は26日に、それぞれ休止する。エンジンを製造する福岡県久留米市の工場も22日から止める。
ダイハツが現在受注している6万台のうち、完成していない1万2000台は納車を取りやめる。完成済みの4万8000台は顧客が希望すれば納入する。
影響は取引先の部品メーカーにも広がりつつある。
岡山県内で車体部品を手がける企業は20日、ダイハツから今月の発注を停止すると連絡を受けた。収益力を底上げしようと、約10年前にダイハツと取引を始めることに成功し、現在はダイハツ向けが年間売上高100億円の2割程度を占めるまでに拡大しているという。
担当者は「ほかのメーカーから受注を増やして穴埋めしたい。だが、来月以降の発注がどうなるかわからず、不安だ」と漏らす。
ダイハツが直接、自動車部品を仕入れている国内企業は423社。だが、物流や設備の修理なども含めるとさらに取引先は増える。
帝国データバンクがダイハツ関連の売上高が1%以上ある企業を調べたところ、直接取引する1次下請けは推計で921社あり、5次まで合わせると8136社に上る。売上高の合計は2兆2110億円に達する。
所在地別では愛知県(2084社)が最も多く、大阪府(1043社)や兵庫県(334社)、大分県(89社)にも広がる。担当者は「生産停止が長引けば、雇用を含め、地域経済への影響が懸念される」と話す。
ダイハツは「かなり大きな影響が出る。直接の取引先は1社ごとに相談し、補償を検討したい」(星加宏昌副社長)としており、取引先と協議を始めた。
ダイハツの国内5工場には計約9000人が勤務している。生産停止後は、工場設備の清掃など通常と違う業務に従事してもらうほか、一定の賃金を支払ったうえで長期休業してもらうことも検討している。