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【朝鮮半島出身の人々に…】 甘辛く粗野な味わいが終戦後の三沢基地周辺で浸透「十和田バラ焼き」 原型はプルコギ
★絶品必食編
地方ならではの肉料理がある。メジャーなところでは、羊肉を使った北海道のジンギスカンや豚のスペアリブを使った沖縄のソーキ(そば)など。
しかし知る人ぞ知る地方の肉料理は各地にある。
青森の「十和田バラ焼き」もそのひとつだ。牛バラ肉と玉ねぎを甘辛いタレで炒め煮にしていく、メシも酒も進む一品である。
「十和田」と名前はついているものの、発祥の地はお隣の三沢。
終戦後、米軍に接収された三沢飛行場近くでは米兵向けに調達された牛肉が流通するようになり、
アメリカ人があまり食べないバラなどの部位が市内に流通するようになったという。
とりわけ昭和20年代中頃(1950年頃)は朝鮮戦争の前線の拠点として三沢基地の拡張工事が進み、
全国から人が集まり、当然その胃袋を満たすための飲食店も増えていった。そこで軍から払い下げられた鉄板を使ったバラ焼きが生まれた。
労働者層の求めで広まったバラ焼きは、実は朝鮮半島出身の人々によって整えられたと考えられている。
その原型はおなじみの「プルコギ」だと言われる。
肉と野菜を甘辛いタレで炒め合わせていくという様式は酷似しているが、
プルコギは事前にタレ漬けしておくのが一般的で野菜の種類もたくさん使う。
一方、労働者の空腹を満たしたバラ焼きはタレ漬けも手早く、野菜の種類や調理工程もより簡易な様式で三沢基地近くで発展していった。
その後、世の中が落ち着くとともに三沢基地近くの飲食店が隣接する十和田へと移転し、現在知られる「十和田バラ焼き」が確立された。
しょうゆに青森特産のりんご、そしてショウガなどが入った甘辛いタレは、青森で圧倒的な支持を得る「源タレ」という焼肉にも親しい風情がある。
香ばしく、味わい深く、どこか粗野で肉好きの本能をかきたてる味わいだ。
こんな原稿を書いていると空腹を刺激され、いてもたってもいられなくなる。
今日の夕食は最近結構増えてきた青森郷土料理の店にしよう。もちろん白飯も欠かさない!
■松浦達也
2023.12/19 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231219-C5E3LMB3URIQNF2QKFNUR5NTTU/