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謎のマネキン、銀座で目撃された「春麗の元キック」!その正体とは?
14日より全国のゲームセンターにて、格闘ゲーム『ストリートファイター6 タイプアーケード』が稼働開始。格ゲーだけにとどまらず、多くのゲーマーからに注目を集めている。
そんな中、X(旧・ツイッター)上では、都内某所にて発見されたマネキンが世のゲーマーに衝撃を与えているのをご存知だろうか。
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■このマネキン、何かおかしい…
今回まず注目したいのは、Xユーザー・sekiさんが11月後半に投稿した1件のポスト。
「銀座に春麗いた」とだけ綴られた投稿には、路面店のショーウィンドウに飾られたマネキンの写真が添えられている。「マネキン」の4文字を見て、直立不動のポーズを思い浮かべた人も多いと思うが…。
なんと、写真に写ったマネキンは右手を軸とし、両足を地面と平行にした躍動感あふれるポーズをとっていたのだ。
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■「担当者はスト2やってそう」
こちらのポーズと本文を見て即座にピンと来た人も少なくないと思うが、春麗(チュンリー)といえば『ストリートファイター』シリーズどころか、近代格闘ゲームにおける女性キャラの始祖にして、象徴的存在。
鍛え抜かれた脚から繰り出される数々の美技と、初登場である『ストリートファイターII』から30年以上が経過した現代でも十分に通用する唯一無二のキャラデザは、多くのゲーマーを魅了し、愛され続けている。
そんな春麗の「しゃがみ大キック」(大足)の攻撃モーションは非常に独特で、片手で体を支えて横にリーチが長い蹴りを繰り出すというもの。そう…前出のマネキンのポーズは、春麗の大足に酷似しているのだ。
こちらの技には「元伝暗殺蹴」(げんでんあんさつしゅう)という『ストリートファイター』のサイドストーリーを知る人物からするとエモすぎる名前が存在し、格ゲーマーの間では主に「元キック」の呼び名で親しまれている。
もちろん、シリーズ最新作となる『スト6』でも、そのモーションは健在である。
件のポストは、投稿からわずか数日で2,000件以上ものリポストを記録するほど話題に。
他のXユーザーからは「ここからスピバに繋げていくのか」「隣にバルログおるやん」「判定めっちゃ強そう」「担当者はスト2やってたに違いない」など、驚きの声が多数上がっていたのだ。
ポスト投稿主・sekiさんに話を聞いたところ、こちらのマネキンは東京・銀座にある「KOMEHYO GINZA」にて発見したものと判明。
だがじつは、同様のポーズのマネキンは、2018年ごろから池袋や、大阪など各地で発見されており、その度に格ゲーマーの間で話題となっていたのだ。
春麗かな? pic.twitter.com/CA4EOirMm0
— フハジン (@fuhajin1201) February 11, 2017
そこで今回は、KOMEHYO GINZAを運営する「株式会社コメ兵」ならびに、マネキン人形を製造する「株式会社トーマネ」に詳しい話を聞いてみることに。すると、衝撃の事実が明らかになったのだ…。
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■コメ兵、完全にノリノリである
銀座に春麗いた。 pic.twitter.com/U6hBOJCNvb
— seki (@s3ki) November 23, 2023
アグレッシブなマネキンを使用した経緯について、コメ兵担当者は「KOMEHYO GINZAでは、年間を通して『銀座の街のON STAGE』に見立てたウィンドウの展開を設定しており、前回のテーマは『Circus』(サーカス)でした」と説明する。
続けて「サーカスの様子を演出してクリスマスなど冬のイベントへの期待感を高めた展開にする際、アクロバティックな動きのあるマネキンを使用することでよりサーカス感を出し、尚且つ街中の人々にも注目されるように…といった経緯で使用しました」と、採用背景を解説してくれたのだ。
ちなみに11月23日からディスプレイが変更されており、現在は同地で「元キックマネキン」を確認できなかった。前出のsekiさんのポスト投稿が23日当日の夜だったことを考えると、運命のようなものを感じてしまう…。
なお、同マネキンは2018年頃に新宿の「KOMEHYO SHINJUKU」ウィンドウでも一度、使用したことがあるという。
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■メーカー本社、入り口から普通じゃない…
コメ兵がマネキンを採用した背景は分かったが、その上で気になるのが「どのような経緯で件のマネキンが誕生したのか」という点である。
そこで続いては、KOMEHYO GINZAから歩いて数分の場所にあるトーマネ本社へと足を運ぶも…入口にあるのは謎すぎる顔のオブジェ。
中に入ったら、次は自分がこのドアノブにされてしまうのでは…という緊張感に襲われたが、真面目そうなスーツの人物が普通に入館していたため、彼を信じて後に続くことに。
入口周辺にもダイナミックなマネキンが展示されており、ひと目見て「間違いなくこの会社だ」と確信した思いであった。
つかみはバッチリ(?)の状況で現れたトーマネ担当者は、話題のマネキンが誕生した根底には「見たことないものを創っていこう」という思いがあると説明する。
「元キック」をはじめとするダイナミックなポーズのマネキンは2016年末に発表された「パルクール」というシリーズ。こちらは人が持つ身体能力をフルに活用する、フランス発祥の同名の運動が由来となっている。
しかし通常、マネキンメーカーというのはダイナミックなポーズのマネキンを製造したがらないもの。こちらについては、使い所の難しさから「レンタルされにくい」という理由が第一に挙げられる。
かと言って、同業他社がメインで製造する汎用性の高い「直立不動」のマネキンだけを製造しても、価格競争という負のスパイラルに巻き込まれてしまう。そこでトーマネでは「可視化」に全力を注いだ、競合他社とは異なる「唯一無二」のマネキン製造に乗り出したのだ。
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■「元キック」完成までそんな経緯が…
特に力を入れたポイントについて、トーマネからは「通常、店頭でのマネキンは裸の状態では使用しません」「そのため、見えない(服を着ている)部分は多少雑でも構わないのでは…という意見もありましたが、見えない部分をこだわることこそが技術のアピールに繋がると信じ、全ての部位をこだわり抜いて製造しております」と、ものづくりメーカーとしての矜持を感じさせるコメントが。
中でも話題の「元キックマネキン」には相当の苦労を重ねており、もともと社員の間では「マネキンを片手で立たせるのは無謀」「力が集中して腕部分が割れてしまう」という、暗黙の認識が存在した。
しかし、普段は温厚な人物である同社の代表が「絶対に片手で立たせないとダメだ」「このマネキンが完成できなければ、それはトーマネではない」と、断固主張。
かくして社員や造形師が一丸となり、無理ゲーと思われた「元キックマネキン」が完成したのだ。
同シリーズを手がけた造形師は「今回話題となったマネキンはパルクールで『ヴォルト』と呼ばれる、障害物を飛び越える動きをモチーフにしています」「他にも高いところから飛び降りる『ランディング』などをモチーフにしました」と、各マネキンの特徴について説明する。
また「リアルに作るだけでは面白くない」という思いから、漫画的要素の導入に辿り着いたという。例えばフランスの漫画『バンド・デシネ』の要素や、日本の漫画『攻殻機動隊』で主人公・草薙素子が飛び降りるシーンなどにインスパイアを受けているそうだ。
一見すると「単なるイロモノ」として見られそうなマネキンだが、その躍動感は着用した衣類の「伸縮性」といった実用性をアピールできる長所が存在する。
こちらを踏まえた上で、トーマネ担当者は「他のメーカー様には躍動感のある一瞬を切り取ったマネキンはほとんどございません」「そのため、同シリーズは自社のブランディングができており、動きを可視化したモデルが欲しいという明確なプランや、マネキンのインパクトに負けない商品をお持ちの会社様に、ご愛顧頂いております」と、市場人気について説明していた。
また、今回のXにおけるポストでマネキンに注目した人々に対しても、「我々の想像力と技術力を最大限に駆使したシリーズとなり、衣類を扱っている方々以外からも様々なコメントをもらえるのは光栄なことです。造形作家も、非常に喜びを感じております」「ぜひ今後の展開にもご期待ください」とのコメントが寄せられている。
大阪にも春麗いました!結構いるのかもw pic.twitter.com/ZkR6UPxf5D
— あむ茶@NO WAR🇺🇦 (@nurik0423) November 24, 2023
街中で変わったポーズのマネキンを発見した際は、インパクトに注目するだけでなく、その「誕生背景」を想像してみると、新たな発見があるかもしれない。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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コメント:「銀座で見かけた謎のマネキン、本当に生身の人間と見分けがつかないほどのリアルさですよね。春麗のキックのようなダイナミックなポーズは、通りすがりの人々を驚かせていたことでしょう。一体、誰がこんなマネキンを作ったのか気になります。」
コメント:「そのマネキンのポーズ、確かに春麗のキックそのものですね!格闘ゲームの世界から現実に飛び出してきたかのような存在感に驚きました。銀座の街に異世界が混じり合っているような感じで、思わず足を止めてしまいました。」
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