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女性教諭、夏休み宿題の一部を提出しなかった中3生徒に大声で叱責 宿題を取りに帰らせ生徒自殺 遺族が指導死と市を提訴へ
訴状などによると、女性教諭は18年9月3日、男子生徒が夏休み中の宿題の一部を提出しなかったとして、職員室で大声で 叱責しっせき 。むせび泣いて動揺する生徒に対し、宿題を取りに帰るよう求めた。自宅に戻った生徒は首をつって自殺した。
遺族は、生徒は自殺する以前から、どなり声を上げて指導する教諭に強いストレスを感じ、この日の指導で精神的に追い詰められたとして、自殺との因果関係があると主張。学校側も、教諭の不適切な指導が生徒を自殺に追い込む可能性を認識していたと指摘し、学校設置者である同市に賠償の責任があるとしている。
この問題を巡っては、同市教育委員会の第三者調査委員会が21年にまとめた最終報告書で、「個別指導が自死の引き金になった可能性は高く、自死に与えた影響としても最も大きいと考えられる」と結論づけた。鹿児島県教委は22年7月、教諭を戒告の懲戒処分とした。
遺族が提訴する方針を固めたことについて、市教委は取材に「大切な命が失われたことについて重く受け止めている。提訴については内容を把握していないのでコメントできない」と答えた。
生徒の母親は「言葉の暴力で亡くなる命がある現実を知ってほしい」と話した。
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教職員の暴言などを苦に命を絶つ「指導死」は従来、統計上での実態把握が行われていなかった。
文部科学省は2022年度版の「児童生徒の問題行動・不登校調査」から、自殺した状況の項目に「教職員による体罰、不適切指導」を新たに加えた。
読売新聞 2023/12/05 08:10
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231205-OYT1T50074/