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「沼」にはまって14年 ジェフ千葉はJ1復帰を果たせるか
サッカー・J2の「沼」にはまって14年目。一度落ちると抜け出せなくなるといわれる状態が続くクラブが、浮上のチャンスをつかんでいる。30年前の開幕時からJリーグに参戦した「オリジナル10」と呼ばれる10クラブの一つ、ジェフユナイテッド市原・千葉が26日、J1昇格プレーオフに挑む。
「昇格への思いは誰よりも強い。降格した時の悔しさや先輩たちの涙を僕は見てきている。降格を知っているのは僕だけ。先輩たちがやりたくてもできなかった昇格をできればいい」
地元の千葉・八千代高から2007年に千葉に入った米倉恒貴選手(35)はそう語る。現在所属する選手では、J1で最下位の18位となった09年のJ2降格を知る唯一のメンバーだ。
14年にガンバ大阪に移籍し、日本代表にも選ばれた米倉選手は19年に千葉に復帰した。今季はJ2リーグ戦の5得点をすべて途中出場で挙げている「スーパーサブ」だ。「(降格は)自分のサッカー人生の中で大きな出来事。そういう時があったからこそ、今までやれている。サッカーで降格してしまったので、サッカーで取り返すしかない。ジェフへの思い入れも強い」と意気込みを示す。
日本リーグの古豪・古河電工を前身とする千葉は、03年に就任したイビチャ・オシム監督の下で黄金期を迎え、同年はJ1で年間3位となり、05、06年にはナビスコ・カップ(現在のYBCルヴァン・カップ)で2連覇した。
だが、オシム監督が日本代表監督就任に伴い退団した後は下降線をたどった。08年には負けたら降格が決まるJ1最終戦で0―2から終盤に4点を奪って奇跡的に残留したが、翌年には最下位の18位に沈み、古河電工時代にもなかった下部リーグへの降格を余儀なくされた。
12年から始まったJ1昇格プレーオフに、千葉は17年までの6年間で4回も出場したが、いずれも敗退した。18年以降はJ1の下位のチームとも対戦する「参入プレーオフ」として行われていたが、千葉は19年に17位になるなど、21年の8位を除いて2桁順位をさまよった。
17年当時、入団1年目だった高橋壱晟選手(25)は「17年は最後7連勝して(6位でプレーオフに)滑り込んだ形だった。今の方が自分たちのやっていることに自信を持って、確立したものがあると思っています」と話す。
東京ヴェルディなどで活躍した小林慶行監督(45)を迎えた今季の千葉は開幕戦こそ勝利したものの、序盤の9試合は1勝3分け5敗と低迷。5月下旬からは3連敗を喫するなど6月中旬まで一時は22チーム中17位と苦しんだ。
成績が上向き始めたのは夏ごろ。前線からボールを奪い、相手ゴールに迫るスタイルが浸透し、7月17日にJ3のFC今治からブラジル人ストライカー、ドゥドゥ選手(33)が加入すると勢いは増した。
主将のDF鈴木大輔選手(33)を中心とした守備は安定し、攻撃はMF田口泰士選手(32)が起点となって展開した。2人の元日本代表が攻守の軸となり、8月19日の藤枝MYFC戦からは7連勝。接戦をものにする勝負強さに磨きがかかり、6位でシーズンを終えた。
今年はプレーオフが6年ぶりにJ2上位チームによる大会方式に戻り、千葉にとっても17年以来6年ぶりのプレーオフ進出となる。
J2の1、2位は自動でJ1に昇格。3~6位の4チームで争われるJ1昇格プレーオフでは、26日に3位の東京ヴと対戦する。
相手の東京ヴも「オリジナル10」のクラブ。08年に降格し、09年から15季連続でJ2の「沼」で戦い続けてきた、似た境遇にある。
今季J2で4位の清水エスパルスと対戦する12月2日のプレーオフ決勝へ進み、昇格できる残り1枠をつかんで「沼」を抜け出せるか。
11/26(日) 11:00 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/7cf30a82a390275b7603c53a3a8c2639df3ddf0c