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“侍ジャパン”劇的Vで連覇に導いた井端監督を悩ませた「招集辞退者」
最後の最後に大逆転劇が待っていた。1点ビハインドで迎えた10回の攻撃。無死一、二塁からスタートするタイブレークでまずは坂倉(広島)の犠飛で同点に追いつき、相手の満塁策でなおも二死満塁とチャンスが広がった。勝負を挑まれた格好の門脇(巨人)は左前へ値千金のサヨナラ打を放ち、重圧から解き放たれたナインは喜びを大爆発させた。
井端監督は「非常にホッとしていますし、選手の頑張りで勝つことができた。本当に選手に感謝しています」とねぎらい、殊勲打の門脇には「彼らしくセンター方向中心に打ち返してくれた。さすがのバッティング」と賛辞を惜しまなかった。
終わってみれば、1次リーグから決勝まで無傷の4連勝。結果だけを見れば快進撃だが、新指揮官は国際大会ならではの苦悩とも戦っていた。それを象徴していたのが投手陣の人選だった。24歳以下などの出場規定で選択肢を狭められたこともあるが、今大会は右投手が5人、左投手が7人。サウスポーが半数以上を占める珍しい陣容となっていた。
初戦の台湾戦は先発した赤星(巨人)の後を及川(阪神)―根本(日本ハム)―桐敷(阪神)―田口(ヤクルト)のリレーで零封勝ち。2番手以降の4人は全員が左投手だった。
吉見一起投手コーチ(39)は今大会の選考理由について「対戦相手を見て左投手を多めにしたわけではありません。ストライク率、四球率とかをチェックして選手を絞りました。結果的にオファーを受け入れてくれたのが、このメンバー。候補に入った割合的にも左が多かったですが、本音としてはもう1枚、右が欲しかったというのはあります」と明かす。
制球力を重視して絞った候補リストの中から参加を打診。若手主体の大会とはいえ、これまでも出場辞退者は少なくなかった。今回も偏重選考から悩ましい事情がうかがえた。
次世代を担う若手の経験値を積むには貴重な大会だが、WBCなどに比べればグレードは下がる。個人事業主の選手からすれば、無理をせず来季に向けた準備を優先したい考え方もある。実際、選考に関わった首脳陣の間からも「自分の現役時代を振り返っても、その気持ちはよく分かる」と辞退者の選択を尊重する声も上がった。
この時期の選手集めは難航するのが常であるものの、限られた選択肢の中から選抜し、連覇を成し遂げた井端監督。苦難を乗り越えてたどり着いた頂点だけに、価値ある「完全V」といえそうだ。
11/20(月) 5:16 東スポ
https://news.yahoo.co.jp/articles/c5909e5805f55efc56a2c3dad5731a8a0e2756af