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青学大・原監督が大学駅伝界の問題点を指摘 「全日本大学駅伝」は日本一を決める舞台ではない
2023年11月6日 06:00
名将の見解は――。全日本大学駅伝(愛知・熱田神宮西門前~三重・伊勢神宮内宮宇治橋前=8区間106・8キロ)が5日に行われ、駒大が5時間9分00秒で4年連続16回目の優勝を達成。史上初の2年連続大学駅伝3冠に王手をかけた。その一方で、今大会は本当に〝日本一決定戦〟と呼べるのだろうか。2位に入った青学大の原晋監督(56)が取材に応じ、大学駅伝界が抱える問題点をズバリ指摘した。
今大会はシード校と全国8地区の選考会を勝ち抜いてきた25校、オープン参加の日本学連選抜、東海学連選抜の計27チームが出場した。正月の風物詩である箱根駅伝と異なり、全国の大学に門戸を開放。大会の公式ホームページには「大学駅伝日本一が決定します」と記載されている。
大会前には、ある地方大学関係者が「関東以外の大学の中でトップに立った上で、1校でも多くの関東の大学に勝ちたい」と力強く宣言。さらに来年1月の箱根駅伝が100回大会を記念して全国の大学から参加可能となる中、その予選会を欠場して今大会に照準を合わせてきた大学もあった。
日本一を懸けた戦いに向けて地方の各大学も虎視眈々と準備を進めていたものの、現実は厳しかった。シード圏内の8位はおろか、上位15位を当然のように関東勢が独占した。地方勢の最高位は大経大の16位だったが、15位の国士舘大とは1分29秒差。関東と地方の格差が、改めて浮き彫りとなった。
この現状に、原監督は「言葉の定義で言えば、日本学生陸上競技連合が主催していて、全日本大学駅伝という名がついているので、言葉の定義上は一番ですが」と前置きした上で「今大会に関わる選手のうち、9割以上の選手が大学進学時に関東へ来ているという事情を踏まえると、関東勢のみが参加できる箱根駅伝を実質全国の駅伝大会というふうに捉えている。よく今大会が真の日本一を決める舞台と言われるが、実態はそうではない」と語気を強めた。
それでは、どうするべきなのか。原監督は「今の構造だったら、これから先も変わりない。名ばかりの全日本大学駅伝になる。だからこそ、箱根駅伝を全国化すべき」ときっぱり。続けて「陸上界の大きな強化の柱の一つとして駅伝があると思っている。それなのに、箱根駅伝を関東の大学だけでやってるようでは陸上界全体の発展はないという論法です」と言い切った。
理想像は女子の大学駅伝のように、全国の各地区の大学が日本一を懸けてしのぎを削るような構図。「箱根から世界へ」を実現するために、今後も名将は改革の必要性を訴えていく構えだ。
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