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給食ビジネスモデル崩壊 値上げ難しく… 全国の給食事業者の3割が最終赤字に陥る
2023年10月31日 2:00
学校給食などを運営するホーユー(広島市)が9月に突然事業を停止した影響が広がっている。新型コロナウイルスの感染拡大による利用者減少や物価高騰によって同社の経営状態は悪化。9月25日に、広島地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。同社の企業体質に問題があったのは明らかだが、全国の給食事業者の3割が最終赤字に陥る。業界全体の構造的な問題も浮かび上がる。
「もう、明日の朝食から給食を準備できない」
9月4日の昼、京都府立農芸高等学校(京都府南丹市)で給食業務を担当する教員は、契約する給食事業者から、こんな耳を疑う言葉を聞いた。同校は9月末に破産手続きを開始したホーユーに給食業務を委託していた。
突然、給食がストップすることになり、大混乱に陥った。同校は全校生徒の半分以上が校内の寮で生活している。教員は寮の翌朝食確保のため、同日夕方に近所のスーパーやコンビニエンスストアに駆けつけて、パンやおにぎりを約60人分購入した。
昼食と夕食については地元店などに頼み、弁当を手配した。朝食は地元店からパンを購入し、昼食と夕食は弁当を用意して対応しているという。同校の担当者は「今、ホーユーとは別の給食事業者と契約締結に向けて話を進めている。しかし、なかなか寮の食事の人数分まで確保するのが難しく、早くても10月からになりそうだ」と話す。
ホーユーと契約していた広島県内の高校でも、寮の食事が突如提供されなくなった。広島県教育委員会の担当者は「緊急対応として次の給食事業者が決まるまでの間、弁当などの手配をしている」と話す。担当者は「ホーユーが経営難だったことを把握するのは難しかった。毎月業務が履行されているのを確認しており、ホーユー側から値上げ交渉もなかった」と打ち明ける。
ホーユーは全国の学校や学生寮、官公庁など約150施設に給食事業を展開してきた。9月1日以降、約半数の施設で給食の提供を停止。9月25日には、広島地方裁判所から破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約16億8000万円に上る。
取引があった金融機関の関係者によると、1~2年前の時点でホーユーへの融資を不良債権と見なしていたという。しかし、ちょうどコロナ禍であったため、経済環境が改善して受注を積み上げれば、いずれは返済できると捉えていたと打ち明ける。
採算ギリギリの低価格で入札、物価高騰に耐えられず
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