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警察の権限とYouTuberの挑戦?規制線を越えた立てこもり現場への突撃に対する抗議と混乱
「俺もユーチューバーなんで来たんですけど、行かせてください」「なんで、行っていいでしょ」
“私人逮捕系ユーチューバー“を名乗る男性が10月31日、埼玉県で発生した立てこもり事件の現場近くで、立ち入り禁止の「規制線」を越えようとして、警察官と押し問答になっている動画をエックスで公開した。警察官から「危ないので」と説明を受け、通行をあきらめる様子が映っている。
立てこもっていた容疑者は拳銃を所持しており、現場が緊迫する中で撮影された動画に対して、SNSでは「何がしたいの?」「迷惑以外のなにものでもない」と批判が集まった。
⚫️ユーチューバー「なんで、行っていいでしょ?なんで?なんで?」
立てこもり事件では、複数のユーチューバーが現場に駆けつけ、報道陣にまじって生配信する姿がみられた。そのうちの1人である男性ユーチューバーが公開した動画では、現場に近づこうとして規制されているエリアに入ろうとするが、複数の警察官に止められる一部始終が撮影されていた。
動画には、男性ユーチューバーが「なんで、行っていいでしょ?なんで?なんで?」「マスコミ通してるじゃないですか」などと警察官に何度も食い下がる様子が映っている。
これに対して、警察官は「危ないので通せないです」「撮影もやめてもらっていいですか。お願いします」「マスコミもいません」と説明して、現場が危険であることから、入らないように話していた。
●「警察官ともみ合いになれば、公務執行妨害の可能性も」
事件や事故では、警察官が規制線を張ることはしばしばある。元警察官で、ライターの鷹橋公宣さんは、次のように指摘する。
「危険な事案になると、ユーチューバーの動画のように、ある程度離れた場所からでも規制することはよくあります。
法的根拠としては、大きくみれば警察法2条、措置として細かくみれば警察官職務執行法4条の避難等の措置、あるいは犯罪捜査規範86条の現場保存があてはまると思いますが、いずれにしても強制力はありません。
今回のケースのように出入りしようとしている人の多くは犯罪に関係のない人なので、現行法では強制排除というわけにはいかないのが現実です。
ただし、現場警察官の制止をきかない場合は軽犯罪法1条8号の違反になるし、制止している警察官ともみ合いになったりすれば、お察しのとおり公務執行妨害にもなりえます」
⚫️「規制線は負傷者を出さないためのもの」
そもそも、なぜ規制線は必要なのだろうか。鷹橋さんは、こう説明する。
「規制線を張る目的は状況次第ですが、今回はとくに拳銃のようなものを持っての立てこもりなので、負傷者を出さないことが最大の目的だと考えられます。みだりに現場に立ち入ったがために銃撃されたなどという事態になれば目も当てられません。
むやみに無関係な野次馬が立ち入れば、その保護や対応に限られた人員を割くことになるので、犯人確保や被害者救出にも支障が生じてしまうでしょう。
ほかにも、たとえば道路崩落のおそれがあるとか、大雨で冠水しているといった状況でも規制線が張られますが、突き詰めれば目的は同じです。
なお、動画中でテレビカメラのようなものを持って立ち入ろうとしている人が映っていましたが、マスコミにもしっかり規制線は守ってもらいます。
視聴者としては情報を知りたい、マスコミとしてはセンセーショナルな『画』を撮りたいという思いがあるのは理解できますが、警察の段階ではまだ捜査中であり、あまり容姿や生の犯罪現場などは見せたくないというのが本音です」
<このニュースへのネットの反応>