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【NHKドラマ】 日本人の歴史観を歪曲 宗教、人物の扱いに見る不公平さ 「公共の電波」としての義務は
国民が国益に沿いつつ、世界に通用する歴史観を持つことは、外交において最大の武器なのに残念だ。
大河ドラマ「どうする家康」も、文禄・慶長の役の扱いがひどかった。豊臣秀吉は、天下統一までは魅力的だったが、耄碌(もうろく)した。
部下に領地を与え、子供が死んだ悲しみを紛らわすために大陸出兵をしたが負け戦だった、とするのがお決まりだ。
さらに、今回は「欲望のかたまり」(番組ホームページ)である悪役として演じられ、極限化した。
大陸出兵に前向きの評価はタブーで、地元から要望がある加藤清正や、島津四兄弟、小早川隆景、立花宗茂、宇喜多秀家などは主人公にしない。
秀吉の狙いも「明国征服」という無茶なものとし、最初は調子が良かったがすぐ苦戦となり、負け戦となり秀吉の死で救われたとする。
史上唯一の日中正面衝突で、日本が大勝した「碧蹄館(へきていかん)の戦い」も無視がお決まりだ。
このあたりは、自著『令和太閤記 寧々の戦国日記』(ワニブックス)で詳細に論じた。
南蛮人(ポルトガル・スペイン両国人)が、東アジアの海を支配しつつあったのに、明国が日本との貿易に応じない状況で、新しい国際秩序を求めて軍事行動しても当時の常識として間違いではない。
2カ月で首都・漢城を陥落させて夢が膨らんだ時期はあるが、秀吉の目標は「朝鮮半島南部に拠点を得る」
「朝鮮に日明両国とバランスが取れた関係を結ばせる」「明との貿易の再開」で、ほぼ一貫していた。
戦況も、秀吉が死ななければ漢城再攻略も確実で、明国も「秀吉の死で救われた」という受けとめだった。
朝ドラでの太平洋戦争の描き方もひどい。
主人公は戦争にほのかな疑問を持つが、周辺に勇ましい愛国婦人などがいて出征兵士を万歳で送り出す。
だが、戦後は兵士たちは「犬死」だったと、みんな軍部を恨むとなる。
だが、熱狂と洗脳だけで戦争が支持されたわけでない。戦後も国のために戦って死んだ兵士を誇りに思った人も多かったから公平でない。
靖国神社も絶対に登場しないがおかしい。
NHKの宗教に対する扱いは、無原則だ。
伝統宗教各派の扱いも不公平だし、日本最大の教団も含めて新宗教には絶対に触れず、
キリスト教は人口比に比べて圧倒的に多く登場させる。原則を決めて公平に扱うのが「公共の電波」として義務だろう。
(評論家・八幡和郎)
2023.10/28 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20231028-MVWXS7UIOZLCXDV77SKJ77Y7ZM/