あわせて読みたい
【チャーター機は韓国も有料】普段は韓国批判ばかりなのに、「韓国軍機」が邦人退避支援したらなぜか黙ってしまった人に欠ける「正しい歴史認識」
パレスチナ自治区ガザ地区を中心とした地域情勢は、さらなる緊迫の度合いを増している。このような危機的状況下、各国は自国民の安全確保を急ぎ、退避活動を進めている。なかでも、現地に駆けつけた韓国軍救援機の人道的配慮は大きな反響を呼んでいる。
韓国国防省と外務省の発表によれば、韓国空軍の輸送機は10月13日にイスラエルのテルアビブに到着。この輸送機は、韓国国民の退避支援を目的としていたが、先に韓国人に座席が配分された後、余った座席に日本人を含む他国籍の市民が搭乗する提案がなされたのである。結果として、
・韓国人:163人
・日本人:51人
・シンガポール人:6人
の計220人が輸送機「KC-330」に搭乗し、10月14日夜に韓国の城南(ソンナム)ソウル空港に無事到着した。
しかも、韓国軍の輸送機での退避活動は、韓国までの移動が無料であったのに対して、日本政府が準備したチャーター機は、ひとりあたり約3万円を請求する予定であることが明らかになり、韓国への称賛が強まることとなった。
今回の出来事を通じて、普段韓国に対して否定的な感情を抱いている人たちが、どれだけ偏った情報や先入観に基づいて意見を形成しているのかということが浮き彫りになった。
2000年代以降の「嫌韓ブーム」
竹島の位置(画像:OpenStreetMap)
日本と韓国は文化、経済ともに深い交流を有しているが、歴史的背景や領土問題などで対立する側面も見受けられる。
近年、日本のメディアや一部の政治家、特に
「ネトウヨ(ネット右翼)」
と称されるグループから、韓国への激しい批判が寄せられている。
・竹島の領土問題
・過去の植民地支配をめぐる歴史認識
などが対立の要因として頻繁に挙げられている。
特に2000年代以降、いわゆる「嫌韓本」の登場とそれに続く「嫌韓ブーム」は、日本における韓国批判をさらに助長した。その結果、事実を無視した批判や、政敵を「在日」などと決めつける陰謀論がSNSやまとめサイトを通じて拡散。これには何度も疑問の声が上がっている。特に、関東大震災時の「朝鮮人虐殺」という歴史的事実を否定する動きが大きな問題となった。
このような韓国側にとって不愉快な状況にもかかわらず、韓国政府は人道的見地から空席の利用を日本大使館に提案したのである。
(略)
このように韓国に対する感謝の声があふれる一方で、「ネトウヨ」たちからは、予想外の沈黙が続いている。
沈黙が続いている背景には何があるのだろうか。これまで公然と韓国や韓国文化を批判してきた彼らが、韓国軍の人道的行動を目の当たりにして、先入観とは異なる事実を突きつけられ、言葉に詰まっているのではないか。
国と国との絆や協力の重要性は存在し、その絆を築くには情報の正確さと公平さが必要である。今回の韓国の行動を目の当たりにして彼らの態度が変わったのは、これまでの情報源やその質が誤っていたことに気づいたからかもしれない。
国際関係においては、事実に基づいた公平な評価が不可欠である。特に、国家間の危機に際しては、相互協力の重要性が際立ち、その意義を再確認する機会となるはずである。
日本人は今回の“恩義”をこれからも心にとどめ、「ネトウヨ」たちは一刻も早く誤った歴史観と偏見から解放され、同じアジア人として日韓友好の道をともに歩むことを願ってやまない。
昼間たかし(ルポライター)
https://news.yahoo.co.jp/articles/466ad658449e0b93121418fd75d2605316062737?page=1