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中国経済に対する悲観的な見方がますます強まっている。
経済回復のための“起爆剤”として期待された大型連休中の消費ブームが不発に終わり、政府の期待を裏切る結果となったからだ。
中国政府によれば、10月6日まで8日間続いた大型連休中、中国本土を旅行した人の数はコロナ禍前の2019年に比べ4.1%増の8億2600人となり、旅行者の支出は19年比1.5%増の7534億3000万元(約15兆6450億円)だった。
この数字を見て、ゼロコロナ政策からの回復を印象付けられるかもしれないが、連休前、関連部局は「国内の旅行者数は8億9600万人、旅行支出を7825億元になる」と見込んでいた。つまり、どちらの数字も政府の予測を下回ったのだ。
特に不調だったのは、映画チケットだった。その売り上げは27億元だったが、19年の実績と比べれば、実に39%も減少した。
専門家はこうしたデータから、「唯一気を吐いていたサービス業の回復も減速しつつある」と危惧している(10月10日付CNN)。
まったく見えない打開策
中国経済全体の足を引っ張っている不動産市場も悪化するばかりだ。
中国の民間不動産調査企業によれば、大型連休中の国内住宅販売(床面積ベース)は前年に比べて17%減少した(10月9日付ロイター)。
資金繰りが懸念されている中国の不動産開発最大手「碧桂園」は10日、「海外債務の支払い義務を期限内に履行できない可能性がある」と発表しており、同社の経営破綻が現実味を帯びてきている。有効な対策を講じようとしない中国政府に対し、国際社会も厳しい目を向け始めている。
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストは10日「不動産市場の信頼を取り戻すためには中国当局の強硬な対応が必要だ」と苦言を呈している。
自らの失政に対する批判が国内外で高まる中、習近平国家主席はどのような打開策を講じようとしているのだろうか。
習近平に「嫌われた」恒大の創業者
習氏はかねてから「経済オンチ」と揶揄されてきた。
トウ小平氏が始めた改革開放路線に関して批判的で、「ブレーンもイエスマンばかりで役に立たない」と言われている。
筆者は「まともな対策は期待できない」と見ていたが、このところ、それを裏付けるような事件があった。
経営再建中の不動産大手「中国恒大集団」の創業者である許家印氏は9月27日、警察に連行された。逮捕の容疑は明らかになっていないが、その後の各種報道によれば、資産を海外に移動したことが問題視されているという。
貧しい農民家庭に生まれた許氏は一代で巨万の富を築いたチャイナドリームの体現者だが、「共同富裕」という名の社会主義の原則に立ち返ろうとしている習氏にとっては「疎ましい存在」だったのかもしれない。
つまり、習氏は自らの失政のスケープゴート探しに躍起になっているようなのだ。
しかも、こうした粛清は不動産開発業界に広がりかねない。
さらに後編記事『習近平の暴走が止まらない…! 中国に現れた「寝そべり族」が公務員幹部にまで波及! 「経済オンチ」と「大粛清」が招く「中国経済“大崩壊”」へのカウントダウン』では、経済を後回しにして風紀行動にとらわれる習近平政権の末期症状について詳しくお伝えしよう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)
https://news.yahoo.co.jp/articles/59b1d2bfd1d2b58f905b17d0461bfa4530a3c5be?page=1