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高校生の国語力の低下に対して「本を読め!」とは言えない… 今はもう、読書をしているかどうかというレベルの問題ではない
そう言ってため息をつく恵さんは、学生たちの国語力低下問題を解決するために、いくつかの研究会に所属し、対策を日夜考えながら現在も現役で国語という教科を都内で高校生に教えている。
「まず、先生方の多くが、現状の把握を十分にできていないので、『国語力の低下をどうするか』という話になると、大抵『本を読ませよう。』なんてことをおっしゃいます。間違ってはいないのですけれど、今はもう、読書をしているかどうかというレベルの問題ではないのです」
高校生たちの楽しんでいるものはまず基本的に、かなりショートな物が多いです。TikTokなんて、投稿できる動画は15秒から10分までと幅はありますが、いわゆるバズるといわれる物は大抵10秒程度でしょう?
前後の関係も何も気にせずに、その切り取られた15秒だけを楽しんでいる人間に、文章を読んでその奥にあるものを想像することは難しいというか、そんなことしようと思ったことがない・・・みたいな状況にそりゃあなりますよね。しかも、そういう短い動画を瞬間的に楽しむ癖がついているので、集中力もあんまりもたない。
M-1グランプリの4分の漫才を『長い。だるい。さっさとおもしろいこと言えばいいのに。』と電車の中で話す高校生の声をたまたま聞いたときにはとても驚きましたけど、そういうのが彼らのリアルなのだろうと考えています」
それでも映画やドラマを見る子どもたちだっているから、一部分を全部のようにとらえてはいけない……。と考えていた恵さんは、そういった子どもたちからも驚愕の事実を伝えられることになった。
「映画見てきたーとか、昨日のドラマやばかったねという話をしている高校生たちの中に混ざって話を聞いてみると、ドラマを見ている子たちは録画やスマホでもう一度見られますみたいなアプリを利用していて、CMはもちろんのこと『話の進みがだるいなー』と思うところはスキップして見ているそうです。
それでも、自分が見たいと思った数分はドラマに入り込んでいるようなので、見方がかなり違うなあと思いました。映画を見てきたという子の多くは、映画の途中でやはり『はじめのほうだるかった。』と述べており、その展開がなかなか進まないいわゆる『だるい』部分はスマホを触っていたようです。
ぐっと1時間から2時間ほど作品の中に入り込むという経験はなかなかできていないのだなあと感じました。だから、本を読むかどうかの問題以前に、長時間何かの中にぐっと入り込むという体験ができないという問題があると私は考えています。もはや、漫画も読めない子が多い。単行本の漫画を一気に読んでしまわずに、数回に分けて読むけど『しんど』みたいな子が多いので、そりゃあ本なんて読めないですよね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbb20628853c3f5aee55a93b712311b4c28f323d