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中高年が知らない大学の変化「運動部学生の成績改ざん」って何だ?
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0d829b9fbcc8ec2411de549a28fa12ad5d9fdc1f
◆日大、今度は相撲部で不祥事発覚
日大の不祥事が止まりません。10月4日、フジテレビはスクープで、日大相撲部学生の成績改ざんについて報じました。
(略)
では、なぜ、日大相撲部など運動部学生の成績改ざんは起きたのでしょうか?
背景には、大学設置基準の改正があります。
◆2007年改正で単位認定が厳格化
大学設置基準とは、大学を設置するのに最低限の条件などを定めた文部科学省の省令です。
1956年に公布・施行されて以降、何度も改正されて現在に至っています。
さて、この大学設置基準が2007年に改正されました。正式名称を「大学設置基準等の一部を改正する省令(平成19年文部科学省令第22号)」と言います。
この改正で、成績判定が厳しくなります。
★5.成績評価基準等の明示等
大学は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとすること。また、学修の成果に係る評価及び卒業の認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがって適切に行うものとすること。(第25条の2関係)※文部科学省「大学設置基準等の一部を改正する省令(平成19年文部科学省令第22号)」より
これにより、甘い成績判定が難しくなりました。
この試行が2008年から。以降、大学の単位認定は厳しくなりました。
出席することはもちろんのこと、成績評価も体育系学生かどうかに関係なく、厳しくなっていったのです。
(略)
◆体育系学生も勉強と両立する時代に
成績基準の厳格化の2007年以降、体育系側でも改革が進んでいきました。
大学にとって、単純にスポーツの強化だけを考えれば、従来通り、スポーツ一辺倒の方が合理的です。
しかし、体育系の学生個人にとってはどうでしょうか。社会に出れば、大卒として扱われます。大卒に相当する知識や教養がなければ「あの人は体育系出身だから」とバカにされます。そして、所属する企業内では高い評価を受けられません。
プロ選手や社会人チーム所属でも同じです。引退すれば、スポーツ業界であれ、業界外であれ、スポーツの実績や技量だけでは済みません。人間性や教養なども備えた人が次のステップに進むことになります。
こうした反省もあって、2010年代に各大学で体育系学生に対してスポーツと学業の両立の促進策が導入されるようになりました。
たとえば、早稲田大学は2014年から早稲田アスリートプログラム(WAP)が導入されています。同制度により、2期連続で基準を下回った学生は練習時間の制限や対外試合の出場停止が課されます。
こうした、学業との両立支援策は関西大学、立命館大学など他大学にも広がっています。
◆できない大学も残る中での日大不祥事
一方、相変わらず、授業よりも練習優先、とする大学スポーツ指導者も一定数、残ります。
例えば、2019年には元スケートフィギュア選手である織田信成さんが原告となった関西大スケート部モラハラ訴訟が起きました。
モラハラ訴訟の詳細は省略しますが、この背景の一つにあったのが授業の出席です。織田さん(当時は関大スケート部コーチ)が部員に対して授業の出席を勧めたのに対して、対立するコーチは練習優先を主張しました。
現在でも、一部の大学(または教員)に対して、体育系学生の優遇を主張するスポーツ指導者は存在します。
日大の不祥事は田中元理事長時代の数年前と昨年の2件であることがフジテレビ記事で判明しています。
※抜粋。全文は親記事で。