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【国際】日本の処理水放出に猛反発していた中国が方針転換?「解決」に向けて動き出した背景は
4日、仏国際放送局RFIは、東京電力福島第一原発の汚染処理水海洋放出に猛反発していた中国がソフトランディングに向けた「方針転換」に乗り出したとする記事を掲載した。
2023年10月4日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)は、東京電力福島第一原発の汚染処理水海洋放出に猛反発していた中国がソフトランディングに向けた「方針転換」に乗り出したとする記事を掲載した。
記事は、日本が8月24日に福島原発の処理水の海洋放出を開始した際に中国が特に激しく反発し「核汚染のリスクを全世界に露骨に転嫁するもの」と日本政府を批判したとする一方で、放出開始から1カ月で日本の環境省が福島周辺の海水を計6回検査した結果、すべての場所でトリチウム濃度が検出下限値以下であり、セシウム137などのガンマ線核種の濃度も検出限界値以下だったと伝えた。
また、中国による日本産水産物の全面輸入禁止は、日本にとって中国市場での損失にとどまり、日本国内では「風評被害」が発生しないばかりか福島産を含む日本各地の水産物が非常によく売れていると指摘。逆に中国では「水産物離れ」が起き、中国の水産業に大きな打撃を与えているとした。さらに、このまま「日本にこの悪行をやめるよう求める」と主張し続けても日本が応じる見込みはない上、日中関係に新しい大きなしこりを残して双方が損をすることになることから、「中国は近ごろ海洋放出への批判を徐々に弱めつつ、問題を解決する新たな方法を探ろうとしている」との見方を示した。
その上で、東京のホテルで9月28日に開かれた在日中国大使館主催の中華人民共和国建国74周年・日中平和友好条約締結45周年記念レセプションでスピーチした呉江浩(ウー・ジアンハオ)大使が海洋放出の問題に言及しなかったことを指摘。また、これに先立つ同23日に東京の華僑総会が主催した中国建国74周年・日中平和友好条約締結45周年記念集会の席で呉大使が「中国による日本産水産物の輸入停止は一時的なもの。問題が解決され、長期的に有効な安全性が確保されれば、それ以上輸入を停止して日本の漁業関係者を苦しめることはない。そして中国の漁業者も被害者だ。だから私たちは今、効果的で権威ある国際的な試験を通じてこの問題が一刻も早く解決されることを望んでいる」と述べたことを伝え、「処理水の海洋放出による日中対立に対して、中国側が『不正行為の中止要求』から『効果的かつ権威ある国際的な調査による問題解決』に重点を移そうとしていることが分かる」と論じた。
記事は、海洋放出開始後に中国の専門家を含む新たな「国際監視メカニズム」が確立され、独自に福島周辺に赴いて海水や魚のサンプルを採取し、そのデータを独自に分析した報告書やデータが発表された形跡はないと紹介。もし、中国を含めた国際的なメカニズムが構築されれば、政治的・外交的な要素を多く含むこの問題は解決されるかもしれないと結んだ。(翻訳・編集/川尻)