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【中央日報コラム】韓国だけで使うにはもったいない、「ハングル分け合い」を深く考える時期
しかしこのような言葉は「優秀性」と「特性」を区別しないでいる点で問題がある。一例として、ハングルの子音字は発音器官を象っていて、音が強くなるに伴って画を加えて作った非常に独創的で科学的な文字だという。しかしこれはハングルが別の文字と区別される特性であるにすぎず、優秀性だとは言い難い。また、しばしばハングルは創製者が明らかになった唯一の文字だというが、実は世の中の多くの文字について作った人が分かっているため唯一だも言えず、このような事実もまた文字の起源に関する言及にすぎずハングルの優秀性とは直接関連していない。
ハングルの特性の中の一つは音素文字、すなわちアルファベット文字という事実だ。これは子音と母音を同時に備えていて人間の言語を正確書く可能性が大きい文字だ。アルファベット文字の一つであるローマ字は現在地球上に文字として表記されている4000余種類の言語のうち、1440種類を表記するのに使われている。文字の優秀性はまさにこのような事実、すなわち「言語を正確に書くことができる能力」から見出さなくてはならない。
ところでハングルはどうだろうか。ハングルは今まで韓国語を書く文字としてのみ使われてきた。ハングルはローマ字とは違った特性があり、これを活用して言語を書くことができる能力もまた優れている。
ある人々はハングルは韓国語を書くものであり、他の言語を書くということはできるのかと不思議がる。そのうえ、このような試みが国粋主義から出た発想程度に考える人が意外にも多いが、これはハングル誕生の偉大な目標を忘れているだけでなく、相変らずハングルをとても下に見ていることにほかならない。
ハングルが優れていると思うなら、これからは音素文字がしなければならないこと、すなわち外国語表記にも関心を持つべきだ。ハングルが持つ文字的特性を十分に活用するなら、無文字言語(字で書かない言語)や難文字言語(字が難しくて書いて読み取ることが難しい言語)を簡単に書き取ることができる。このような「ハングルの分け合い」が現実のものになれば、ハングルは人類の文明を保全する役割を果たすことになるだろう。
あと20年もすればハングル創製600周年を迎える。我々は世宗(セジョン)大王が愛民精神と共に社会的弱者のために創り出したハングルを新たに認識し直すべきで、ハングルで世界のさまざまな言語を表記することができるように研究・準備し、新たな600年を迎えなければならないだろう。そのような意味でハングルは新しい出発点に立っている。
キム・ジュウォン/国立世界文字博物館館長
中央日報
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