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【パヨクの戯れ言】在日特権など存在しない 在日特権という言葉はヘイトスピーチ
もはや都市伝説どころか、「神話」の域にまで達しているかと思いきや、一部ではまだ現実社会の“仕組み”として認識されていることに驚いた。いわゆる「在日特権」のことである。在日コリアンが日本社会において優越的な権利を有しているというトンデモ説だ。
在日コリアンは公共料金の支払いを免除されている、大企業への就職に際し優先枠が設けられている、といったものから、政界を牛耳っている、はては日本を支配しているといった、荒唐無稽な陰謀論までもが、いまだネット上にあふれている。
ネットで目にするだけではない。少し前にも、ヘイトスピーチをテーマとした行政主催による講演会の終了後、会場参加者の一人から「あなた(※筆者)が言うとおり差別はよくないと思うが、在日の人たちが特権を持っていることについてはどう思うのか」と真顔で訊ねられたことがあった。
その場で崩れ落ちそうになるのをこらえながら全力で否定したが、私と同世代と思しき質問の主は、「ネットに書いてあったので」云々と合点のいかない表情を最後まで隠さなかった。
まるで実体がありません、単なるデマです、ネトウヨのホラ話です、まぼろしにすぎません――これまで何百回となく、「在日特権」を口にする人々に向けて、そう述べてきた。バカバカしいと思いながらも、役所や政治家に「在日特権」の有無を問うてもきた。私が2012年に刊行した『ネットと愛国』(講談社)でも、あえて1章分を「『在日コリアン=特権階級』は本当か」といった特権説の検証に費やし、そのデタラメさを指摘した。
ない、あるわけがない。役所の担当者も与野党の政治家も、誰もが呆れ顔で特権の存在を否定した。ときに私自身がネットのデマに踊らされたネトウヨであるかのように誤認されながら、それでも「まぼろし」の検証を続けたのは、「在日特権」なる文言や概念それ自体が、ヘイトスピーチとして機能しているからである。
いや、差別を正当化させるために、そして在日コリアンを貶めるために、ありったけの妄想を寄せ集めたヘイトスピーチそのものと断言してもよい。
特定の人種や民族が優越的な権利を有し、マジョリティに不利益を強いているといった考え方は、洋の東西を問わず人種・民族への憎悪を煽るために利用されてきた。紛うことなき差別行為だ。社会から多様性を奪い、人間から尊厳を奪うことなど、許されるわけがない。
だがネット上では、あるいは現実社会においても、だれがどのように否定しようとも、「在日特権」の亡霊は相も変わらず醜悪な姿をさらして徘徊している。だから何百回であろうと、それがどれだけ手垢にまみれた言葉であろうと、私は繰り返す。「在日特権」など存在しない。ただの妄想に過ぎない。(中略)
存在するわけがないのに、差別扇動の飛び道具として用いられる「在日特権」なる物言いは、れっきとしたヘイトスピーチである。ヘイトクライムを後押しするものである。だからこそ、政治も行政も、いや、日本社会全体で、このふざけた文言を断固として否定すべきなのだ。「殺戮」の材料など、踏み潰すしかない。