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マック最高齢女性クルー 90歳民子さんの“スマイル”の秘訣
(出典:毎日新聞) |
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1 蚤の市 ★ :2023/09/18(月) 11:50:35.75 ID:9CcnWhue9
午前7時半。同市中央区の繁華街にあるマクドナルド熊本下通店の店舗前で、本田民子さんがほうきとちりとりを手に、掃き掃除を始めた。「数日前から腰が痛い」と苦笑しつつも、しっかりした足取りで、テキパキと側溝や道路上のごみを拾い集めていく。
水曜と日曜を除く週5日、同市西区の自宅からバスで20分かけて出勤し、午前7時半から3時間、いわゆる「朝マック」の時間を中心に働く。2000年に採用されて勤続23年、同僚から「たみちゃん」「民子さん」と呼ばれている。
日本マクドナルド(東京)によると、国内約3000店舗で最高齢のクルーは富山県の95歳男性。本田さんは女性最高齢で、勤続年数では本田さんが男性を上回るという。牛嶋宏美店長(51)は、本田さんの孫と同世代だといい「朝、民子さんに『おはよう』と言われると安心し、周りに元気と癒やしをくれる。シフトも安定して入ってもらえて、店にとってはなくてはならない存在」と感謝する。
本田さんは熊本県宇城市出身。熊本市内の病院で介護職に長く従事し、61歳で定年退職した。その後、市内の大学の清掃員として67歳まで働き、再び「定年」を迎えた。それでも「まだ働きたか」との思いは消えず、「終活」よりも「就活」に励んだ。
そんな時、一人娘が「年齢不問」のマクドナルドのアルバイト募集を教えてくれた。「何でもやります」と即日応募した。
振り返れば幼少期は戦時中で、小学校を経て青年学校に通っていた12歳の時に終戦。「当時はサツマイモやサトイモが主食。いつも食べ物が不足していた」と語る。「今はボタン一つでいろいろと注文できる便利な時代。苦労した時代も生きてきたから、モノのありがたみを強く感じる」と話す。
加齢により聴力が落ち、白内障で目は見えにくくなった。裁縫で服を作る楽しみも難しくなったが、「今は趣味が仕事」と明るい。高齢の来店客に「私ももっと働きたか」と声をかけられることも。休憩時間には若いクルーらとコーヒーを飲んだり、手作りのらっきょう漬けを配ったりして交流を楽しんでいるという。
バイト先を見つけてくれた一人娘はがんを患い、12年前に58歳で先立った。出勤前は必ず、写真の中の娘に向かって「行ってくるね」と声をかける。
仲の良かった友人は認知症で交流が難しくなり、多くは鬼籍に入った。それでも本田さん自身は「病気で仕事を休んだことはない。店に来れば若い子たちと話せて元気になる。新型コロナウイルスも平気」と笑い飛ばす。
孫からは「もう十分働いたんじゃない」と言われるが、「仕事をすることで元気ば保てる」と歯牙にもかけない。「周りの手を煩わせんように、体の続く限り頑張って生きたい」
働く高齢者、927万人 30年前から倍増
内閣府の2023年版高齢社会白書によると、65歳以上の働く高齢者は927万人で、15歳以上の労働力人口に占める割合(22年)は13・4%。生産年齢人口(15~64歳)がピークだった約30年前(1995年)の割合(6・7%)から倍増した。高齢者の年代別比率でみても▽65~69歳で52%▽70~74歳で33・9%▽75歳以上で11%――と15年以降は各年代で増加傾向にある。
21年4月施行の改正高年齢者雇用安定法では、企業に▽定年制の廃止▽70歳までの定年引き上げ▽定年後も70歳までは業務委託契約で働き続けられる制度を導入――などの措置を取ることが努力義務化された。日本マクドナルドも年齢や性別などを問わない採用方針を打ち出し、クルーに定年は設けていない。一方、白書によると、定年制を廃止した企業は3・9%、努力義務である70歳まで定年を引き上げた企業は2・1%にとどまる。
内閣府が20年1月に実施した意識調査では、収入のある仕事をしている60歳以上の36・7%が「働けるうちはいつまでも」と回答。「75歳ぐらいまで」「80歳ぐらいまで」も合わせると6割強となった。働く理由では「収入がほしい」が45・4%で最多だった一方、「体に良い。老化を防ぐ」23・5%▽「仕事が面白い。知識が生かせる」21・9%▽「友人や仲間を得られる」4・4%――など生きがいや健康作りの回答も目立ち、高齢者も働きやすい環境整備が求められている。【山口桂子】
毎日新聞 2023/9/18 06:00(最終更新 9/18 10:46)
https://mainichi.jp/articles/20230915/k00/00m/040/397000c