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【アバレルヨー】 絶叫、放尿、脱糞も 不法滞在者、強制送還の実態 チャーター機代2億円超
本来は自己負担が原則だが、送還を拒否している場合は国が負担せざるを得ず、暴れるなどした場合にはチャーター機を用意するという。
不法滞在者は素早く祖国に帰すべきという意見は多いが、諸外国と海を隔てた島国日本では容易ではない。
入管庁によると、不法滞在や犯罪などで法務省が「退去強制令書」を発付した外国人は過去10年間で約6万9千人。
9割ほどは自ら帰国するが、拒否した場合は「送還忌避者」として強制的に帰国させるケースがある。
ただ、島国である日本は移動手段として高額な航空機代が発生する。
本人が拒否している場合は国費を使わざるを得ず、付き添いの入国警備官らの旅費も必要になる。
また、一般客も乗る民間機の場合、送還忌避者があえて暴れたり、暴言を吐くなどして機長判断で搭乗を拒否されるケースも多発。
法務省は平成25年度から同じ国同士の送還忌避者をチャーター機に乗せる集団送還を8年間で計8回実施した。
これまでにフィリピン、タイ、ベトナムなど6カ国の計339人が対象となったが、
埼玉県川口市などで住民との軋轢が表面化したクルド人が多く住むトルコやイランは含まれていない。
費用は8年間の累計で2億2500万円にのぼり、個別に送還したケースも含めると10億円を超える。
令和3年以降はコロナ禍などもあり集団送還は行われていないが、
同年は送還された約4100人のうち約1300人が国費でその割合は高くなっている。
送還忌避者をめぐっては、深刻な事例が後を絶たない。入管庁関係者によると、トルコ国籍の男の場合、搭乗時に突然、「アー、アー」と叫んで暴れ、放尿して抵抗、機長が搭乗を拒否した。
1週間後に再度試みたが、男は「アバレルヨー」と大声で宣言して再び暴れ、警備官らが両手足を押さえてようやく帰国便に乗せたという。
モロッコ国籍の男は搭乗前に警備官を殴り、別の警備官らが頭を押さえるなどして送還した。
こうした様子はすべてビデオに収められている。搭乗後に放尿や脱糞したり騒ぎ続けるケースでも、
警備官は隣の座席で帰国先まで付き添うという。
入管庁幹部は「一般機では暴れてもチャーター機ではあきらめる場合が多い。個別送還よりコストが抑えられる面もある」と話す。
令和4年末に送還忌避者として国内に残っている人は前年より約1千人増え、累計で4233人。
最多はトルコ国籍の約600人で、多くはクルド人とみられる。
全体の9割以上は入管施設への収容を一時的に解かれた「仮放免」の立場で、半数程度は難民認定申請中という。
6月成立の改正入管難民法では、難民申請中に送還が停止される回数を2回に制限、機内で暴れるなどした場合、1年以下の懲役などの罰則を設けた。
ただ、仮放免者の中には、行方が分からなくなっている者も約1400人おり、強制送還そのものが困難な状態が続いている。
2023/9/16 14:03 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20230916-PR4AF3L73RJ5JNWQ52KCTW5QLQ/