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ネットで盛り上がる「良いナチス」論…日本史でも誤った主張「日本の植民地統治は朝鮮を豊かにした」
田野氏が憂慮するのは、こうした誤りを指摘されてもなお「ナチスは良いこともした」と主張し続ける人が多いことだ。
「過去にSNSで『ナチスの政策で肯定できる点はない』と発信したところ、批判が殺到して炎上状態になりました。最近も『ナチスは良いこともした』という主張を見るたびに誤りを指摘していますが、それでも意見を変えない人が目立ちます」
こういった主張をネット上の意見として放置するのは容易い。しかし田野氏は「『ホロコーストはなかった』といった、より深刻な歴史修正主義へと発展する可能性がある」として、潜在的な危険を指摘する。
「ホロコースト否定論者の中には、心の底からそう信じているわけではなく、教科書的でお行儀のよい”定説”への反発から、そう主張している人がいます。『ナチスは良いこともした』と言う人にも、同じような動機から、単に『逆張り』をしているだけの人が多い。両者には共通する面があるので、将来的にもっと過激な主張へと発展しかねません」
ナチスに限らず、日本史でも誤った主張に固執するケースはある。中でも「日本の植民地統治は朝鮮を豊かにした」という意見はネットを中心に幅を利かせているが、東京大学教授の松本武祝氏はこう指摘する。
「この説は一部の人によって繰り返し主張されてきました。しかし地主など限られた資産家を除き、大半の朝鮮人は経済発展から疎外され、むしろより低水準の生活へと追い込まれたのが実態です」
だが鉄道や学校教育など、日本が整備した社会インフラは役立ったのではないか―このような反論に対しても、松本氏は疑義を呈する。
「日本が整備した鉄道は朝鮮半島と満州を結ぶ軍事的な意味合いが強く、朝鮮の人々にとって日常的に便利な路線ではなかった。解放後も日常生活においてどれだけ有用だったのかは疑問です。
日本が整備した学校は、農民、単純労働者あるいは下級官僚として必要な知識を日本語で教える、最低限の初等教育に重点を置いた体制でした。それを『朝鮮の人々の役に立った』と言うのは、かなり一面的で偏った見方ではないでしょうか。
15年ほど前まで、こうした主張は一部の右派的な人だけに見られるものでした。しかし最近ではこうした意見がネット上で拡散していて、危機感を覚えます」
過去を正しく直視した先にこそ、未来がある。
「週刊現代」2023年9月9・16日合併号より
https://gendai.media/articles/-/115703?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related
https://news.yahoo.co.jp/articles/a9bd7b3eda95e9dc10f4cbcf219d0aac053efc13?page=1
引用元:https://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/news4plus/1694736683/
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