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「訪日キャンセル続出」の中国報道に疑問 国内旅行会社「影響はあまりない」処理水影響を過大に喧伝している可能性
「あたかもキャンセルが続いているかのように報じられるのは迷惑だ」
取材に応じた国内旅行会社の担当者は、中国人観光客を巡る一部の報道に眉をひそめる。
8月24日に始まった処理水放出を受け、中国メディアは「核汚染水の放出」「訪日キャンセル続出」と盛んに報道した。
斉藤鉄夫国土交通相も今月8日の定例記者会見で、8月末までに中国の旅行会社に聞き取り調査をしたところ、実際にキャンセル事例が報告されたことを明らかにした。ただ、調査対象の会社によって、問い合わせが一切なかったとするケースもあるといい、影響については「現時点で申し上げることは避けたい」と述べた。観光庁幹部は「中国側の報道については冷静な判断が必要」と語った。
これまでに産経新聞が中国人観光客の受け入れ業務を担う国内の旅行会社十数社に聞き取りを行ったところ、「影響はあまりない」と口をそろえた。若干のキャンセル事例があった旅行会社でも「全体から見ればごくわずかだ」と話す。
処理水放出を巡っては、中国からとみられる迷惑電話も多数報告されているが、別の旅行会社担当者は「訪日旅行を計画できるのは基本的に富裕層。迷惑電話を掛けている人たちとは明らかに違う印象だ」とし、訪日需要への影響は限定的とみている。
中国側の姿勢にも変化の兆しがうかがえる。中国共産党の機関紙である人民日報系の環球時報は、8月30日に国民に冷静な対応を呼びかける社説を掲載。一部の行き過ぎた国民の反応を抑制する狙いがあるとみられる。
昨年10月の日本政府による新型コロナウイルスの水際対策緩和以降、中国人の訪日客は順調に増加しており、8月には日本への団体旅行も解禁された。9月末からは中国で国慶節の大型連休も控え、旅行会社関係者からは「このまま何もなければ」と事態の収束を期待する声が上がる。
今回の事態の背景について、九州大大学院の益尾知佐子教授(国際関係学)は「中国には習近平政権の長期独裁や不動産バブルの崩壊による経済失速など、国内の不満の矛先を外に向ける目的があった」と指摘。処理水放出がその格好の材料とされたとの見方だ。
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1f781b916fd3414a49edbf9a69abe8204a31714