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二階氏「いくらワシでもこの件で中国を説得するのは無理」 岸田の唯一の期待虚しく暗礁へ
二階俊博元幹事長の中国訪問に向けた調整が暗礁に乗り上げている。超党派の日中友好議員連盟会長として9月にも訪中する方向だったが、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出への中国側の反発が収まらないためだ。悪化する日中関係の打開策として岸田文雄首相が強い期待感を示したが、側近議員は「様子を見るしかない」と話しており、早期訪中は困難な情勢だ。
首相は8月30日、二階氏と党本部で面会し、「日中関係は難しい状況だが、対話は切らしたくない。中国と話ができるのは二階先生しかいない」と訪中を要請。中国側の軟化に向け、中国と独自の人脈を持つ二階氏に協力を呼び掛けた。
二階氏は4月に議連会長に就任し、中国政府も歓迎した。二階氏が日中議員外交を長年けん引し、習近平国家主席ともたびたび会談するなど両国関係の維持・改善に尽力してきたことを中国側も重視し、訪中調整を続けてきた。
だが、中国が処理水放出への対抗措置として日本産水産物の全面禁輸に踏み切ったことで暗転。公明の山口那津男代表が8月28~30日に予定していた訪中が直前で延期となった影響も大きく、二階氏の周囲からは「中国側が気持ちよく受け入れられる状況ではない」「今は時機ではない」との悲観論が相次いだ。
首相は6~7日にインドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に合わせ、中国の李強首相との会談を模索するが、実現するかは不透明。日中の溝が広がる中で二階氏の外交手腕も問われているが、側近議員は「年内訪中は難しい」との見通しを示した。(2023/09/04-08:41)