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バスケ日本代表をパリ五輪へ押し上げるファンの応援力 一部が暴走するサッカー、野球ファンへの警鐘となるのか
バスケット日本代表をパリ五輪出場へ押し上げるファンの応援力は、一部が暴走するサッカー、プロ野球ファンへ警鐘になるのか。
ここ最近、一部のスポーツファンの応援がクローズアップされている。8月31日には日本サッカー協会(JFA)が臨時理事会を開き、8月2日の天皇杯4回戦・J1名古屋-J1浦和戦(CSアセット港サッカー場)で暴動騒ぎを起こした浦和サポーター17人に対して、無期限入場禁止(JFA主催試合、Jリーグや各連盟などの主催試合を含む国内すべての試合)という処分を発表した。
同月24日には、プロ野球の阪神が球団公式ホームページで「ご観戦されるお客様へ、試合観戦時のマナーについてのお願い」と題し、ファンに向けて応援マナーについての要望を再度掲載した。
記者としてプロ野球だけでなく、サッカー、相撲、大学ラグビーなどを取材してきて原稿を書いてきたが過去、ファンの暴走に眉をひそめることもあった。かつてプロ野球の広島が本拠地としていた広島市民球場では相手チームの応援団から乾電池やラジカセが左翼を守っていた選手に投げ込まれたシーンに遭遇した。埼玉・駒場スタジアムで行われたJ1浦和の試合では、敗戦に怒ったサポーターがスタンドからピッチに自転車を投げ込んだのも目撃している。
ファンの中には「お金を払って応援に来ている。何をしてもいい」という人もいるかもしれない。だが、度の過ぎた暴走が、果たしてスポーツを愛しているといえるだろうか。単なるストレス解消のはけ口にしていないだろうか。今回、バスケ男子W杯でその意を強くした。
日本は8月31日の順位決定リーグO組初戦で、格上のベネズエラを大逆転で撃破。48年ぶりとなる自力での五輪出場に大きく前進した。第4クオーターだけで17得点した比江島慎(33)の活躍は大きい。だが、試合後、トーマス・ホーバス監督(ヘッドコーチ)=(56)=、NBAのサンズでプレーする渡辺雄太(28)は「ファンの応援が力になった」と口にした。その応援は、明らかにサッカーやプロ野球とは違っていたと思う。日本の攻撃やチャンスを後押ししたのは間違いなく、声援、歓声、拍手。野球やサッカーのような鳴り物入りの応援ではない。
日本ではプロリーグがあるとはいえ、バスケはサッカーや野球に比べマイナースポーツの扱いをされており、応援もそこまで過激ではない。ベネズエラのフリースローの場面では会場内にブーイングが巻き起こったが、それだけだ。日本だけでなく、相手チームにもリスペクトが感じられる応援だった。
野球、サッカーなどの屋外競技はバスケのような屋内競技とは違う。鳴り物入りの応援に参加することを楽しみに集まる人も多いだろう。だが、純粋に競技そのものを応援し、楽しみたいファンもいる。エンゼルス・大谷翔平(29)が活躍するMLBでは鳴り物を使った応援はないが、球場内に一体感が生まれている。プロ野球、サッカーファンの応援方法も転換期に来ているような気がする。(デイリースポーツ・今野良彦)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a8c5c19326579035c67923c21116896b5475734e