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日本バスケ史上最高のシューター富永啓生「3ポイント決定率10分の0」 このデータは、勲章である。
3Pシュートに関するこのデータは、勲章である。
日本バスケ史上最高のシューターと称され、3Pを多用する現在の日本代表の申し子である富永啓生。彼は3Pを10本も放ったが、1本も入らなかった。W杯の3試合目、オーストラリア戦でのことだ。
しかも3Pの内訳をクォーター(Q)ごとに見ていくと、4本、2本、2本、2本。最終の第4Qまで、彼はブレずに打ち続けたことになる。
特筆すべきは、彼の姿勢に対するチームメイトからの評価だ。インパクトのある”賛辞“が並ぶ。
チーム最年長の比江島慎は言う。
「彼は自分の仕事はこなしているので。あれがチームとして目指すバスケだと思います。シュートの本数を増やすというのは、このチームの特長。『相手にやられようが、やり返す』ことを徹底しているし、それが目指すべきバスケなので」
チームのキャプテン富樫勇樹は、さらに強いメッセージを発する。
「彼にはこれからも自信を持って、打ってほしいです。それが彼の良さであり、強みでもある。彼のシュートを、これからもチームの大きなメインオプションとしてやっていきたいと思っています」
富永が外しても3Pシュートを打ち続けた「理由」
W杯の1試合で「10本の3Pシュートを外す選手」はこれから先にも出てくるかもしれない。
しかし、外してもなお打ち続けたことを、これほどまで称賛される選手は出てこないかもしれない。富永が打ち続けたのは彼のエゴのためではない。彼がプレーで示したものはハッキリしている。
優勝候補を相手にしても、日本代表が「自分たちのバスケを貫き通すのだ」という”意志”である。
日本代表は、世界ランキング3位のオーストラリアに89-109で敗れた。しかし、悔しい敗戦と引き換えに大切なものを手に入れた。
オーストラリアとの試合で日本はスタメンを2人、入れ替えた。2日前のフィンランド戦の前半のヒーローとなった比江島と、後半のヒーローである河村勇輝が新たに先発に名を連ねたのだ。ところが、中1日ペースで試合が続くなかで、オーストラリアは、フィンランド戦における日本のヒーローの長所にフォーカスして策を講じてきた。
比江島のドリブルからのドライブや、河村の3Pやパスを徹底して抑えにきたのだ。思うようなオフェンスを展開できない日本はディフェンスでも苦しみ、前半を35-57という大量22点のビハインドで終えることになってしまった。
しかし、ハーフタイムを境に日本は生まれ変わる。