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【野球】選手悩ませる心ない書き込みとヤジ 鉄腕・稲尾和久「昔は味があった」
開幕直後に被害を訴えたのは、横浜DeNAベイスターズのエドウィン・エスコバー投手です。2019年には74試合、昨シーズンにも70試合に登板したタフなセットアッパーです。
「オマエの家族は皆、自動車事故で死ぬだろう」
「地獄に落ちろ、黒い動物」
これを読んで、平常心でいられる者は、まずいないでしょう。人種差別に加え、家族への脅迫を匂わせる文面です。
これを受け、エスコバー投手は、「このようなメッセージは、私を大いに悩ませ、家族のことになるととても怒りを感じる」とTwitter(当時)につづりました。
悪質な書き込みに悩まされているのは、ひとりエスコバー投手だけではありません。阪神タイガースの青柳晃洋投手も「ゴミ戦犯」「病院でずっと過ごせ」などと誹謗中傷を受けたことを明らかにし、自身のインスタグラムで「ファンだからといって何でも選手に言っていいわけではないです」と警告を発しました。
もっとも、NPBや選手会も、ただ手をこまねいているわけではありません。
<もちろん誹謗中傷等に対しては、発信者情報開示請求等の法的措置を講じ、専門家や警察などの関係機関と連携するなどして、これまで以上に断固とした対応をとってまいります>(NPB公式HP)
この件について問うと、あるNPB関係者は、こう語りました。
「これまでは“有名税”として見逃してきた面もありました。しかし、今は選手のみならず家族にも被害が及んでいる。選手の中には“僕個人の問題ならともかく、家族が誹謗中傷にさらされることは耐えられません”と言う者もいます。また悪質な投稿は監督、コーチ、そして審判に対しても見られます。法律家に相談すると、そのうちのいくつかは侮辱罪に相当すると。ファンの皆様には、“ファンだから何を書いても許される”という甘い考えは捨ててもらいたい。それはヤジについても同様です」
選手が心を痛めているのはSNSへの悪質な投稿だけではありません。球場でのヤジも度を過ぎると、試合観戦契約約款の禁止行為に指定されている<他の観客及び監督、コーチ、選手、主催者及びその職員等、販売店その他の球場関係者への威嚇、作為又は不作為の強要、暴力、誹謗中傷その他の迷惑を及ぼす行為>という項目に抵触する恐れがあります。
これに違反したと主催者側が判断した場合、退場措置をとる権限が明記されています。
とはいえ、どのヤジがセーフでどのヤジがアウトかは判定が難しいところです。暴言や罵詈雑言の類はもってのほかですが、中には、思わず吹き出しそうになるものもあります。
先頃、“鉄腕”稲尾和久さんの『神様、仏様、稲尾様』(日本経済新聞社)という著作を読んでいて、ニヤッとする場面がありました。最後に紹介しておきましょう。
<応援や野次にしても、昔は味があった。大阪球場で南海と対戦して、五番か、六番の長谷川繁雄という打者が出てくると「長谷川とかけて、湊町の交差点と解く。その心は」とくる。球場の近くに湊町という駅があった。そこで市電が急カーブしていて、車輪をキーキー鳴らしていた。
「その心は、カーブに弱い」>
これなら「座布団1枚!」です。
二宮清純コラム プロ野球ガゼット
https://www2.myjcom.jp/npb/column/20230829.shtml
「野村ーっ、キャッチャー交代させろー!」
って阪急ファンのヤジは傑作だったw