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【遅いけどやらないよりまし】中国の先端技術情報の流出阻止のため、公安庁が異例の76人増員 経済安保の危機感が高まる
先端技術情報の獲得を狙い、中国側が大学研究者や企業関係者らに多額の資金を提供するなどして抱き込みを図る事件が日米で相次いでいる。技術情報の海外流出を「経済安全保障上の危機」と捉える公安調査庁は全国で情報網を拡大、巧妙化する中国側の接触について背景を個別に分析し、不審な動きをあぶり出したい考えだ。
米司法当局は昨年1月、中国政府の人材獲得政策「千人計画」に参加し、中国側から金銭を支給されていたのに収入を虚偽申告していたとして、ナノテクノロジー分野で著名だったハーバード大教授を訴追。今年1月には、中国側からの約2900万ドル(約30億円)の資金提供を隠し、米エネルギー省の研究費をだまし取ったなどとして、マサチューセッツ工科大(MIT)の教授を訴追するなど、中国側とのつながりが浮上した研究者らの摘発が続く。
日本でも京都府警が令和元年、電子部品メーカーの技術情報を中国に持ち出したとして元社員を逮捕。積水化学工業の技術情報を中国企業にメールで送ったとして、大阪府警が昨年10月、元社員を書類送検するなど事件が相次いでいる。
公安関係者によると、こうした事件では研究者や企業関係者に対し、留学生の派遣や共同研究の持ち掛けなど「一見すると合法的な形で接触が図られる」という。技術情報などの流出は大量破壊兵器の研究・開発に転用される懸念もあり、日本も対策を本格化させようと、公安庁は今年2月、長官・次長直轄で調査官ら約20人が所属する「経済安全保障関連調査プロジェクト・チーム」を発足させた。
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産経新聞 2021年5月31日 21時31分
https://www.sankei.com/article/20210531-VXO37CLI2ZKMTL4CQMKUDJTFMQ/