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【子宮頸がん】 2013年、朝日新聞の記事から大きく変わった・・・HPVワクチン接種率70%→0.6%、多くの人が亡くなっている
オーストラリアが89%、アメリカが61%であることを考えると、驚異的な低さだ。
医師の多くは、ワクチンが普及していれば撲滅できるはずの病気を回避できず多くの人ががんで苦しみ、
亡くなっていく現状を歯がゆい思いで見つめてきた。
そんななか、2021年4月9日「子宮の日」に掲載された新聞の1面広告が話題となった。
HPVワクチンに関する誤解がもとで接種が進まない現状を憂い、HPVに関する情報を発信する「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」が出したものだ。
ここで改めて、HPVワクチンとはなんなのか、副反応の心配はないのか。HPVに関する情報を発信する「みんパピ!」で副代表を務める医師・木下喬弘氏に話を聞いた。
ーー日本ではなぜHPVワクチンの接種率が低いのでしょうか。
まずは少しHPVワクチンの歴史をご説明しますね。
HPVワクチンは2009年に2価が承認され、2011年に4価も承認されました。2価は2種類のウイルスに効果があるということ。
4価なら4種類のウイルスに効果があるということです。
2010年からは13~16歳の女性はHPVワクチンを無料で打てるようになりました。
とはいえこのときは定期接種ではなく、「自治体にお金を払って無料で打てるようにしましょう」という政策でした。
その後、「これは子宮頸がんを防ぐ非常に重要なワクチンだ」ということで運動が盛んになり、2013年4月には定期接種になります。
その1カ月ほど前、朝日新聞が「ワクチン接種のあと、手足が動かなくなって学校へ通えなくなった子がいる。
自治体と交渉になっている」という記事を出しました。そこから事態は大きく変わります。
他メディアも次々と後追いしていき、「ワクチンを打ったあとになにか神経の症状が出て車いすになり、痙攣している子が複数いる」といった情報をメディアが熱心に報じたんです。
その結果、厚生労働省も国もかなり責められます。「製薬会社と一緒に危険なワクチンを売った」と言われて、同年6月に副反応検討部会という、
ワクチンの安全性を評価する厚労相の審議会が行われたんです。その投票では、ワクチン推奨を賛成するが2票、推奨は反対するが3票となり、
定期接種から外すほどではないが、よりデータが蓄積されるまでは積極的にお勧めするのはやめておきましょうと判断されました。
ーーしかし過去に薬やワクチンに関する重大な問題が起きています。HPVワクチンへの不信感があっても不思議ではありません。
本題のHPVワクチンに関しては、2018年に「名古屋スタディ」が、2021年1月には韓国で大規模な研究がされて、
神経の異常はHPVワクチンと因果関係はないだろうと結論づけられています。
僕は、HPV感染症の予防方法について学ぶ仕組みを作る、「みんパピ!」という団体の副代表を務めています。
そこで4月9日の子宮の日に、「もう「知らなかった」という理由で死なないでほしい。」というコピーで新聞広告を出しました。
これまでいくつものテレビや新聞で、何度放送・記事掲載を蹴られたかわかりません。
放送・記事掲載の記者さんなどは、記事を書こうとしてくれたのに、デスクに見せたら掲載どころか反省文を書かされたといってきたこともありました。
僕たちはそういう理不尽な悔しい思いをずっとしてきたんです。
世の中に広まった誤情報に対して、お金を払って払拭しなければいけない理不尽さ。それでも、科学的な知見を理解してくれる人が少しずつ現れて、ゆっくりですが前に進んでいる感じですね。
HPVによって起こる子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がん、直腸がんなどは、ワクチンで防げる病気です。それを是非知っていただきたいです。
https://wezz-y.com/archives/91284