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【米中】「中国の検閲を受け入れる映画には協力しない」ペンタゴンが表明 中国に悩まされてきたハリウッドに異変が
「ハリウッドはチャイナマネー欲しさにスピリットまで売ってしまったのはよくなかったですね」
そう語るのは、テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏。この指摘を理解するには、過去にハリウッドと中国がどれほどズブズブだったかを知る必要がある。米国事情に詳しいジャーナリストによると、
「2010年ごろから中国の映画市場は急拡大し、チャイナマネーがハリウッドを席巻しました。中国企業の出資を受けた作品が相次ぐようになったのです」
■中国を悪く描くことがタブーに
だが、これはさながら悪魔の取引だった。
「中国を批判的に扱う描写や、中国人を悪役として登場させることなどがタブーとなりました。製作時には中国政府と中国市場を意識しての忖度が必須となったわけです。さらには中国での公開が、政府の検閲の末にNGとされることも多々。当然、こうした状況を憂う映画人もいました」(同)
そこに一石を投じたのが、22年公開のトム・クルーズ主演「トップガン マーヴェリック」を巡る騒動だ。
「トム演じる主役マーヴェリック大佐が着るフライトジャケットには、もともと日本と台湾の旗のワッペンがあしらわれる予定でした。それが19年発表の予告編で変更されていたのです。中国企業が出資していたための政治的配慮だと世論が紛糾。結局、中国企業が出資を取りやめ、ワッペンは元通りになりました」(同)
■くまのプーさん
この映画に深く関わっていたのがペンタゴンである。
「『トップガン』のように軍が登場するアクション映画には、ペンタゴンは依頼があれば戦闘機や軍艦を貸し出します。宣伝にもなるからですが、無論、人手を割いて台本チェックや安全管理などを行います。
なのに中国への忖度でシーンがカットされたり、ストーリーが変更されたりする。これは本来、製作サイドからしても不都合きわまりない。中国の検閲を許す作品への協力を拒む判断は正しいと思います」(デーブ氏)
以後、北京当局が介入を断念しない限り、せっかくヒットが見込めそうな軍事モノの大作でも、中国は関与できなくなったのだ。金を出す意味がないのだから。
中国による検閲に、長く悩まされてきた米映画界。
「18年公開の『プーと大人になった僕』が中国では上映禁止になりました。くまのプーさんは以前から習近平主席に似ていると言われ、それだけで検閲対象とされていた。しゃれの通じない人です」(同)
■作品外での中国批判にも過敏
他にもある。映画評論家のバフィー吉川氏によれば、
「21年公開の『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』で、中国は製作側にニューヨークの自由の女神像を消すよう迫ったとされます。作品外での中国批判にも過敏で、たとえば中国出身のクロエ・ジャオ監督がアカデミー賞を受賞しても、彼女の過去の政府批判発言を理由に中国では一切報道されませんでした」
先のジャーナリストも、
「チベット問題で中国を批判したリチャード・ギアはハリウッドで干されてきた。キアヌ・リーヴスやシャロン・ストーンも同じく中国批判で活躍の場が限られていた。彼らの俳優としての価値とは無関係に、です」
中国がカネと共に去り、名優たちが復活するなら、英断の効果は世界最強?
2023年08月05日 デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/08051057/?all=1