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韓国が「ノーベル賞がとれない」、その“意外なワケ”が明らかに…!
超・学歴格差社会で知られる韓国の受験戦争ぶりはよく知られており、同じく受験戦争が激しい日本と比べてもその“地獄ぶり”はよく知られている。
そんな韓国の大学受験では特に「数学と英語」が重要視されているのだが、韓国は、世界の高校生を対象に数学の問題を解く能力を競い合う数学オリンピックにおいて上位入賞の常連国としても知られている。
欧米と比較しても数学の授業レベルはアジア圏が断トツで高い上に、アジアから欧米に留学をした学生たちが数学で優秀な成績をおさめる話はよく聞く。
それだけに数学オリンピックで日中韓が好成績を記録するのも納得であるが、数学教育のあり方については大きな「差」があるといえる。
筆者の韓国在住の日本人の友人は、数学が得意科目であったというが、「韓国の数学教育に疑問を感じる」と言う。
韓国が「数学への興味」で「最下位」になった事情
日本の場合は数学を基本から応用までその生徒に合った幅広い問題をやっている印象であるのに対して、韓国は「基本問題は理解しているもの」ということを前提に、ただひたすら問題を解くことを重点に置き、難解な問題であればあるほど良しとする傾向にあるというのだ。
確かに、小学校高学年の数学(韓国では小学校から数学という科目名で統一されている)の試験問題を見ても、基本問題は前半に数問出題されているだけで、他は応用問題が中心となった構成である。
学校の授業のみや家庭で親が勉強を見ることの負担や不安をやわらげるべく、小学校から数学専門塾に送るというのが定番になっていることを示しているかのようである。
その結果が前述のように数学オリンピックで上位入賞の常連国であったり、学習到達度は世界3位というハイレベルな印象を持ちながらも、数学に対して興味や自信を持っているという学生の割合は最下位という結果が出ている。
韓国が「自然科学系ノーベル賞」に縁遠い事情
つまり、数学が得意な生徒にとっては良いが、一度つまずき、「数学放棄者」と言われる数学嫌いになるケースや、数学は好きではないが「受験のためには仕方なく勉強しなくてはならない」というプレッシャーからストレスを抱える生徒が現状では多いのである。
難易度だけを競うかのような出題はやはり、すべての学生が興味と理解を持って教育を受けるという権利を無視していると言えるし、結局は「大学受験のためだけ」に照準が置かれているということである。
度々、論争になる韓国が科学分野でのノーベル賞受賞者を輩出できない背景、日本などと比べてなぜ科学分野でのノーベル賞受賞者を出せないかという背景には、こうした教育事情もあると言えるかも知れない。
ちなみに韓国では2019年から高校の無償化教育が始まっている。公立、私立や世帯所得等関係なく学費は原則無料という形であるが、少子化対策に効果があるとは言い難い。なぜなら、前述の通り、大学進学を目的とした私費教育の負担が重くのしかかっているからだ。
日本でも受験のための塾や予備校の費用は決して安いものではないが、その分、受験に必要となる科目の授業を総合的に受けれる。しかし、韓国では「学院」と呼ばれる塾の場合は、数学、英語、化学など科目毎の単科の塾が多く、学ぶ教科が多いほど塾代は高くつく。これに加え、家庭教師を依頼する場合はさらに費用は嵩む。
「政争の具」と化す
韓国の小学生~高校生までの一月あたりの私費教育費は平均41万ウォン(日本円で約4万5千円)と言われているが、地域などによって差はあるものの都市部がより高く、高校生では平均を大きく上回り塾代が月に100万ウォン(約11万円)を超えるという話もザラに聞く。
いくら高校自体が無償化であっても、結局は進学のためにこれだけの多額の私費教育費をかけなくてはならないということは本末転倒と言わざるを得ない。
また、韓国で政権交代の度に教育システムや内容に変更が生じたりと、学生も親もいかに情報を集めて適応していくかが重要であるとともに負担も大きく、結局は教育までもが政争の具として利用されることが否めない。
やはり、学歴至上主義や私費教育費の増加など根本的な問題を解決しなくては、その場しのぎにしかならないということであろう。