あわせて読みたい
【Newsweek】韓国の「盗撮」が国際的な問題に。公衆トイレ、宿泊施設で隠しカメラが流行
韓国で「盗撮」が大きな問題となっている。7月4日、ソウル市麻浦区で女子トイレを盗撮した20代の男性が逮捕された。商業ビルの女子トイレで盗撮をしていた男性が2人の女性に目撃されて逃走。「盗撮犯が逃げた」という女性の声を聞きつけた飲食店の従業員が400メートルほど追いかけて捕まえた容疑者を警察に引き渡した。
2月には仁川南洞警察署が、モーテルなどの宿泊施設に隠しカメラを設置した容疑で30代の男性を逮捕した。1月中旬から2月中旬にかけ、ソウル市、仁川市、釜山市、大邱市の宿泊施設14か所の客室に20台のカメラを設置して宿泊客数百人を盗撮した疑いだ。ルーターに偽装したカメラをテレビの棚やエアコンの上にベッドの方向に向けて設置していたという。仁川市南洞区にあるホテルの客室清掃中にカメラを発見した従業員の通報を受けた警察が監視カメラの映像から容疑者を特定した。
また、3月には、韓国に旅行したとみられる外国人が、韓国の公衆トイレは、トイレットペーパーの小さな隙間にカメラが隠されている可能性があると「TikTok」に投稿し、4月にもある外国人が「韓国旅行を準備する際『隠しカメラ探知機』が必要」とツイートして話題になった。
「公衆トイレや女子更衣室で隠しカメラが流行している」
野党共に民主党議員が全国の警察から取り寄せた資料を集計したところ、2017年から2022年の違法撮影の通報が3万9957件に上っていたという。1日平均18件である。
韓国の盗撮は国際的な問題にもなっている。21年10月、シンガポールで実刑判決を受けた盗撮犯は韓国軍の将校だった。それに先立つ21年7月、国際人権団体「ヒューマンライツウォッチ(HRW)」女性管理局のディレクターが、「公衆トイレや女子更衣室で隠しカメラが流行しているのは韓国が世界唯一だ。その動画を販売する市場が形成されている国も韓国しか知らない」と述べている。
また、英国などの海外メディアなどが隠しカメラを「molka」と表記するという。韓国語でこっそりを意味する「Mollae」と「Camera」の頭文字を合わせた造語で「盗撮」を意味する韓国語の「モルカ」が、いまや英語でも使われているのだ。
監視カメラも至るところに設置されている
モルカと同様、監視カメラも至るところに設置されている。仁川南洞警察がモーテルに隠しカメラを設置した容疑者を監視カメラで特定したのと同様、監視カメラで容疑者を特定した例は少なくない。
今年4月4日、忠清南道天安市のチキン店で10人のグループ客が約26万ウォン(約2万8600円)の飲食をした後、代金を支払わずに逃走した。一部はトイレに行くといい、一部はタバコを吸うといって店外に出てそのまま逃走。警察は店内に設置された監視カメラの映像から容疑者の1人を特定した。
6月24日には福島原発処理水の放出を控えて韓国内で品薄となっている「天日塩」を盗んだ夫婦が逮捕された。60代の夫婦は6月10日、12日、14日の3日にわたって済州道西帰浦市内の倉庫に保管されていた塩700袋(1袋20キロ)を盗んだという。済州西帰浦警察署は監視カメラの映像などから容疑者を特定した。
7月7日にアパートの入り口の引っ越し荷物からタブレットPCなどを盗んだ80代の女性2人も監視カメラの映像から逮捕に繋がった。
交通違反の摘発も監視カメラで行われている。速度違反や信号無視など、監視カメラによる摘発が一般的で、違法駐車も監視カメラで取り締まる。
警察は監視カメラの画像と罰金の振込用紙を所有者に送付する。期限内に納付すると完結して行政罰は免除される。違反車両がリース車の場合、写真と納付書は所有者であるリース会社に送付され、リース会社が契約者に転送する。リース会社の担当者は、交通違反の通知が大きな負担だと話している。
天安市のチキン店の食逃げ犯は店内に設置された監視カメラで特定されたが、多くの飲食店や小売店がレジ近くに監視カメラを設置している。目的の一つが従業員の着服を監視するためだ。飲食代や商品代金として受け取った現金を経営者の目を盗んで着服する従業員が少なからずいるのである。現金の扱いを一切やめたバスもある。
(略)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/post-102218_1.php