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【見せかけ政策?】北朝鮮の「拉致幕引き」懸念 岸田・正恩、首脳会談実現の機運高まるが…支持率下落で・・・
岸田文雄政権は、防衛力強化のための増税について、2024年からの実施を見送る方向だ。
内閣支持率の下落を受け、世論の反発が強い増税論議を避けて、衆院解散のフリーハンドを握ろうとした可能性がある。
こうしたなか、日朝首脳会談実現への機運が高まっている。拉致被害者全員の帰国につながればいいが、相手は「ニセ遺骨」を送り付けてきた北朝鮮である。一方的な「幕引き」を懸念する声が上がっている。
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「昨年暮れの段階では、早ければ夏に税調を開いて秋の臨時国会で税法を通せば
24年4月から法人税を上げることも可能だという状況だったが、スケジュール的には相当きつい」「無理だということを確認した」
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は13日、非公式幹部会合後、記者団にこう語った。
・防衛増税の見送り濃厚
防衛増税をめぐっては、昨年末に決定した税制改正大綱では、法人、所得、たばこの3税について
「24年以降の適切な時期」に実施するとしていた。
ただ、22年度税収は過去最高の71・1兆円となり、先送り論が高まっていた。
背景に、内閣支持率の下落を指摘する声もある。
時事通信が7~10日に実施した世論調査で、岸田内閣の支持率は前月比4・3ポイント減の30・8%となった。
自民党支持率は23・6%で、合計すると54・4%。青木幹雄元官房長官は「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ると政権は危ない」という「青木の法則」を唱えていたが、まさに危険水域に近づいている。
政治評論家の有馬晴海氏は「現在の支持率下落は深刻だ。岸田内閣は少子化対策でも肝心の財源を示さず、賛否が割れる重要課題の決断は先送りしている。次々と政策のアピールだけして、仕事をしているように見せかけている。
(9月とされる)内閣改造・党人事の浮揚効果も期待薄なだけに、
『日朝首脳会談の実現』を呼び水に、世論の支持を得ようとする意欲が強まっているようだ」と語る。
確かに、岸田首相が5月末、ハイレベル協議の実現を呼びかけると、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の北朝鮮側も呼応する談話を発信していた。
拉致被害者を救う会の西岡力会長は「被害者全員の即時一括帰国が実現するなら、われわれは北朝鮮への人道支援に反対しない。ただ、北朝鮮が『死亡』と虚偽説明した被害者に触れず、何人かを帰国させて『幕引き』にすることは絶対に許されない。日本政府の一部には、日朝国交正常化を最優先に考える人がいるが、世論は決して納得しないだろう」とクギを刺した。
2002年の日朝首脳会談で、北朝鮮は8人の拉致被害者を「死亡」とし、4人は「未入境」と主張した。だが、死亡診断書は急場しのぎのニセモノで、「死亡日時」以降も被害者が生存していたことが判明した。別人の骨を「被害者の遺骨」だと提出してきたこともある。
・過去の政権も「北朝鮮問題」を選挙利用
有馬氏は「過去の政権でも『北朝鮮問題を前進させて選挙に勝つ』というもくろみが浮かんでは消えた。拉致問題を最重要、最優先課題とした安倍晋三政権を含め、新たな被害者の帰国という成果は得られていない。成功すれば、絶大な外交実績になるのは確かだが、相当困難でリスクもあるという実態を直視すべきだろう」と語っている。
夕刊フジ 2023.7/16 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230716-MLFTXWFBWFOVDJ5G4RTFE3W6PM/