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【韓国憲法裁】「5・18補償金、受け取っても国に慰謝料請求可能」「現在の補償法は違憲」と判断
1990年に改正された「光州民主化運動関連者への補償などに関する法律(5・18補償法)」はその第16条第2項において「申請人が補償金の支払いを受けた場合、民事訴訟法上の『裁判上の和解』が成立したものとみなし、その後は国を相手取った損害賠償請求はできない」と定めている。この条項は被害者の救済手続きを迅速に終結させ、国による二重の賠償を防ぐことがその趣旨だ。
ところが5・18関連の補償をすでに受け取った被害者ら5人は2019年「精神的被害に対する慰謝料を国に追加で請求できないようにしたこの条項は違憲」として裁判所を通じて憲法裁判所に違憲法律審判を請求した。これに対して憲法裁判所は裁判官全員(9人)の一致した意見として「5・18補償法の条項をみると、補償金を算定する際に精神的損害賠償に相当する内容がないことから、補償金支払後に国に対する賠償請求権を制限するのは行き過ぎ」との判断を下した。5・18被害補償審議委員会はこれまで医療費や生活支援金などの形で補償金を支払ってきたが、ここには精神的損害が抜けているというのだ。これとよく似た趣旨で憲法裁判所は2018年、「民主化運動による補償金を受け取ったことを理由に、精神的損害について国に賠償を請求できないのは違憲」との決定を下している。
今回の憲法裁判所の決定を受け、すでに5・18補償金を受領した5807人は精神的被害を主張し、国に慰謝料を請求できる道が開かれた。5・18遺族は自らの慰謝料はもちろん、故人の慰謝料まで相続を受け代わりに訴訟ができることになる。
ただし今後訴訟を通じて5・18関連者が全て損害賠償を受けられるとは考えにくい。特別法によって設置された5・18被害補償審議委員会が補償金を支払う基準と比べ、裁判で国からの賠償が認められる条件の方が厳しいからだ。「補償」は違法かどうかに関係なく発生した損害を補填するものだが、「(国からの)賠償」は違法な行為による損害を埋め合わせるものだ。最終的には訴訟を通じて国による不法行為とそれによる精神的被害を立証しなければ、賠償を受け取ることはできないことになる。
裁判所の関係者は「精神的損害賠償の額は被害者の具体的な被害の程度によって千差万別になるだろう」と予想した。維新の時代に行われた緊急措置の被害者に対して認められた国からの慰謝料は、不法拘禁の日数などによって少ない場合は2000万ウォン(約196万円)、多いときは10億ウォン(約9800万円)を上回ることもあった。
キム・ウンジョン記者
朝鮮日報 記事入力 : 2021/05/28 14:29
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