あわせて読みたい
|
退職金の増税によって、中高年の生活が大きく変わることが予想されます。例えば、計画的に資産を運用していた人が、突然の増税により資産が減少してしまう可能性があります。また、退職後の生活設計を立て直す必要が出てくるかもしれません。
1 蚤の市 ★ :2023/07/08(土) 15:45:08.56ID:xSMbf3gy9
国が老後資金に手を付ける? 政府の税制調査会が6月末、同じ職場に長く勤め続けるほど、退職金への課税が抑えられる仕組みを見直すよう中期答申で促した。終身雇用を改めて多様な働き方を促す、という名目だ。しかし、地道に勤め続けた中高年にとって、老後の計画も変わりかねない。こんな「改悪」が許されるのか。 (中沢佳子)
「現行の課税の仕組みは、勤続年数が長いほど厚く支給される退職金の支給形態を反映している。だが近年、支給形態や労働市場のさまざまな動向に応じ、税制上も対応を検討する必要が生じている」。6月30日に税調がまとめた答申は、退職金の課税についてそう指摘した。いろいろな働き方がある今、一つの職場で勤め上げるという昔ながらの考えに基づいた仕組みに疑問符をつけ、見直しを迫ったのだ。
◆終身雇用を前提にした税制が転職を阻む?
火種は岸田文雄首相肝いりの「新しい資本主義実現会議」だ。5月にまとめた労働市場改革の指針で、現行の仕組みに「自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘がある」と言及。政府が6月16日に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」でも、「成長分野への労働移動の円滑化」を掲げ「退職所得課税制度の見直しを行う」と盛り込んだ。
現行では、受け取った退職金から控除額を引いた額の2分の1に、税がかかる。控除額は勤続20年までが年40万円、20年超からは年70万円を足し合わせる。つまり、一つの会社に長く勤め続けるほど税負担が軽くなる。
終身雇用を前提にした税制が、デジタルなどこれからの成長分野への積極的な転職を阻んでいる、というのが政府の言い分。とはいえ、中高年の勤め人にとってはしごを外されるような話でもあるだけに、答申前、税調の中里実会長(東大名誉教授)も「甚大な影響を受ける人もいる。簡単に片付く話ではない」と会見で語っている。
◆50、60代でいきなり「多様な働き方」ができる人はいる?
「多様な働き方、雇用の流動化なんて言うけれど、控除の見直しはイコール増税。どこから税を取れるか見回し、目に付いたのでは」と経済ジャーナリストの荻原博子さん。退職金への税優遇をいじって転職を促せるのかも、疑問だという。「退職金を意識するのは50代以上。若い人ならともかく、50、60代でいきなり『多様な働き方』ができる人が、どれほどいるのか。『流動』して働ける場がどれだけあるのか」
退職金を見込んで、自宅のローン返済や老後の暮らしを計画する中高年も少なくない。荻原さんは「ただでさえ不安な中高年を『もらえる退職金が減るのか』『年を取っても働き続けないと…』と、一層不安にさせる。見直しで影響を強く受ける人たちのことを、考えていない」と憤る。
◆20年以上働いた人まで対象「あまりに乱暴。ちゃぶ台返しだ」
日本大の安藤至大むねとも教授(労働経済学)も「働き始めて数年なら、政府の言う『望ましい労働移動』が起きるかもしれない。しかし、20年以上働いた人まで対象にするのはあまりに乱暴。ちゃぶ台返しだ。人生設計が変わる人が続出する」と問題視する。
安藤さんは勤務年数を重ねるほど給与が上がり、退職金の税優遇がある仕組みは、高度成長期に企業が労働者に長く働いてもらうためにつくったものだと説明。「必ずしも一つの職場で働き続けるのがいいという考えでもなくなった。年功賃金や退職金の税優遇より、キャリア形成や貢献度に見合った賃金制度などで報いる見直しは必要だろう」と言いつつ、既存の退職金課税をいきなり変えることとは、別だとくぎを刺す。「制度移行するなら、勤務年数がすでに一定を超えた人を外さなくては。これから雇う人、勤続年数が浅い人に適用するなど、対象者を慎重に考えるべきだ」
「現行の課税の仕組みは、勤続年数が長いほど厚く支給される退職金の支給形態を反映している。だが近年、支給形態や労働市場のさまざまな動向に応じ、税制上も対応を検討する必要が生じている」。6月30日に税調がまとめた答申は、退職金の課税についてそう指摘した。いろいろな働き方がある今、一つの職場で勤め上げるという昔ながらの考えに基づいた仕組みに疑問符をつけ、見直しを迫ったのだ。
◆終身雇用を前提にした税制が転職を阻む?
火種は岸田文雄首相肝いりの「新しい資本主義実現会議」だ。5月にまとめた労働市場改革の指針で、現行の仕組みに「自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘がある」と言及。政府が6月16日に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」でも、「成長分野への労働移動の円滑化」を掲げ「退職所得課税制度の見直しを行う」と盛り込んだ。
現行では、受け取った退職金から控除額を引いた額の2分の1に、税がかかる。控除額は勤続20年までが年40万円、20年超からは年70万円を足し合わせる。つまり、一つの会社に長く勤め続けるほど税負担が軽くなる。
終身雇用を前提にした税制が、デジタルなどこれからの成長分野への積極的な転職を阻んでいる、というのが政府の言い分。とはいえ、中高年の勤め人にとってはしごを外されるような話でもあるだけに、答申前、税調の中里実会長(東大名誉教授)も「甚大な影響を受ける人もいる。簡単に片付く話ではない」と会見で語っている。
◆50、60代でいきなり「多様な働き方」ができる人はいる?
「多様な働き方、雇用の流動化なんて言うけれど、控除の見直しはイコール増税。どこから税を取れるか見回し、目に付いたのでは」と経済ジャーナリストの荻原博子さん。退職金への税優遇をいじって転職を促せるのかも、疑問だという。「退職金を意識するのは50代以上。若い人ならともかく、50、60代でいきなり『多様な働き方』ができる人が、どれほどいるのか。『流動』して働ける場がどれだけあるのか」
退職金を見込んで、自宅のローン返済や老後の暮らしを計画する中高年も少なくない。荻原さんは「ただでさえ不安な中高年を『もらえる退職金が減るのか』『年を取っても働き続けないと…』と、一層不安にさせる。見直しで影響を強く受ける人たちのことを、考えていない」と憤る。
◆20年以上働いた人まで対象「あまりに乱暴。ちゃぶ台返しだ」
日本大の安藤至大むねとも教授(労働経済学)も「働き始めて数年なら、政府の言う『望ましい労働移動』が起きるかもしれない。しかし、20年以上働いた人まで対象にするのはあまりに乱暴。ちゃぶ台返しだ。人生設計が変わる人が続出する」と問題視する。
安藤さんは勤務年数を重ねるほど給与が上がり、退職金の税優遇がある仕組みは、高度成長期に企業が労働者に長く働いてもらうためにつくったものだと説明。「必ずしも一つの職場で働き続けるのがいいという考えでもなくなった。年功賃金や退職金の税優遇より、キャリア形成や貢献度に見合った賃金制度などで報いる見直しは必要だろう」と言いつつ、既存の退職金課税をいきなり変えることとは、別だとくぎを刺す。「制度移行するなら、勤務年数がすでに一定を超えた人を外さなくては。これから雇う人、勤続年数が浅い人に適用するなど、対象者を慎重に考えるべきだ」
東京新聞 2023年7月5日 13時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/260987