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なぜサウジアラビアは“大型補強”を行っているのか?大いなる野心と課題 「欧州五大リーグに並ぶ可能性」
2022年のカタール・ワールドカップ、グループステージ初戦でサウジアラビアがアルゼンチンを撃破したのは、遠い昔の話ではない。そのニュースは世界に衝撃を与え、大会有数のサプライズとして伝えられた。
だが、あれは単なるラッキーパンチではなかった。近年、サウジアラビアがフットボールに注力しているのは明白だ。
■C・ロナウドのサウジアラビア移籍
昨年、クリスティアーノ・ロナウドがアル・ナスルに移籍。マンチェスター・ユナイテッドで問題を抱えていたC・ロナウドに年間2億ユーロ(約300億円)という巨額オファーを提示して、2年契約を締結した。
「サウジアラビアのリーグ戦は非常に競争的だ。だけど、まだまだ成長の余地がある。特に、インフラの整備だ。VARや審判のレベルというのは、もっと上がると思う。でも、クオリティの高い選手がたくさんいる。欧州五大リーグに並ぶリーグ戦になる可能性はある」
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■資金を投じる目的と問題点
では、なぜ、サウジアラビアが巨額な資金を投じて選手を獲得しているのか。目的として考えられるのは、ブランディングだ。
サウジアラビアは先日、新しい国営航空会社の設立を発表した。それを皮切りに、多くの事業でグローバル展開を目論んでいる。その時、欧州のサッカークラブが重要な役割を担うのは明らかだ。エティハド航空、カタール航空、エミレーツ航空などがクラブの買収やスポンサー就任を通じて、ビジネスを発展させたという成功例がある。
また、サウジアラビアはポスト石油時代を睨んでいる。スポーツやエンターテイメントのビジネスを展開させ、資源(石油)に依存するアプローチからの脱却を図ろうとしている。
2022年にバロンドールを受賞したベンゼマ(写真:ロイター/アフロ)
一方で、課題がないわけではない。
サウジアラビアの参入で、マーケットが破壊されてしまう可能性がある。適正な価格で適正な取引が続けられていない限り、市場というのは壊れるものだ。近年のマンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンのケースから、それは自明である。そして、UEFAはそれをコントロールできずにいる。ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)は実質的に機能していない。UEFAの管理が及ばないところで、戦力が強化され、そういったところが欧州の頂点に立ち、チャンピオンズリーグで優勝するという歪な構造になっている。
これはマンチェスター・シティを批判するものではない。パリ・サンジェルマン、ニューカッスル然り。もっと大きな問題だ。お金は上から下に流れる。ただし、その流れを滑らかにしておかないと、堰き止めを喰うタイミングが訪れる。その時、欧州の市場を支配しているのが中東だったとしたらーー。笑えない話だ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/moritayasushi/20230704-00356115